新型コロナウイルス感染症は、2019年から中国を皮切りに世界的なパンデミックとして未だに猛威をふるっています。
日本では一時期のような過激な報道はされなくなっていますが、未だに猛威をふるっているのは間違いありません。
日本人の半数以上がコロナに罹患歴があると思っています。
ほとんどの方は、コロナに罹患しても数日中に症状が落ち着いて完治します。
しかし、なかには「後遺症」が残ってしまう方も一定数いるようです。
要するに「新型コロナウイルス後遺症」という疾患です。
新型コロナウイルス後遺症は、感染症から回復した後も、様々な症状で苦しむ状態を指します。
ニュース等でも、後遺症に苦しむ方の特集が放送されているので、認知度も高いと思います。
コロナ後遺症の症状に関しては、実に様々あるようです。
なかでも代表的な症状を挙げてみます。
実際はこれらの症状以外にも多岐にわたって様々な症状を発症するようです。
症状に関しては個人差があり、上記の症状を複数抱えている場合が多いようです。
また同じ症状であっても、軽度~重度まで個人差があります。
比較的多い症状は、倦怠感、筋力の低下、息切れ、抑うつ等があるようです。
様々な病院、製薬会社等で研究は行われているようですが、またはっきりとした原因はわかっていないようです。
ですが一般的によく言われる原因としては「炎症反応」です。
コロナウイルスは肺や血管の内側にある受容体にくっつくことがわかっています。
この状態にると、肺以外にも心臓、脳等が強い影響を受けてしまいます。
そしてこの状態が続くと「炎症反応」が体の各所に起きてしまいます。
炎症反応が起きるとそれに伴って「サイトカイン」という化学物質が作られます。
通常は免疫細胞が異物に向かってサイトカインを届けて生体の炎症を促進させます。
しかしコロナウイルスの場合に関しては、サイトカインが過剰に分泌されてしまい、その結果として体内で炎症が発生してしまいます。
要するにコロナウイルスが長期化してしまうのは、体の免疫がずっとウイルスを戦っている状態だといえるようです。
その結果として、サイトカインが自分の健康な細胞まで破壊してしまうのです。
一般的にこの状態を「サイトカインストーム」と言います。
サイトカインストームの状態になってしまうと、全身に炎症が起きるので非常に厄介といえます。
またサイトカインストームの状態が長時間続くと、血圧が降下するので命の危険もあるのです。
更には全身の炎症が続くと「敗血症」になることもあり、やはり命に関わります。
コロナ後遺症に対して、治療法はあるのでしょうか。
今のところ(2024、3)では、確たる治療法はないようです。
要するに「対処療法」になります。
病院等の医療機関では、病院によって治療法も様々なようです。
ですが一般的によく行われている治療法として「Bスポット治療」があります。
Bスポット治療とは、「上咽頭」と呼ばれる部分に炎症を抑える薬剤を直接塗布する治療です。
個人差はあるようですが、この治療で良くなる人も多いようです。
因みに上咽頭の周囲には「自律神経」が密集しています。
ですので上咽頭が炎症を起こすと自律神経のバランスも崩れてしまい、自律神経症状が発症すると考えられています。
上咽頭の炎症が治まれば、自律神経症状も治まるというわけです。
コロナの後遺症になった場合は、病院等の医療機関で治療を受けるのが基本なのですが。
実は鍼灸治療も有効なんです。
ただし個人的な経験から言うと劇的に改善する人、まったく改善しない人にしっかりと分かれます。
そして改善する人改善しない人の差は何なのかというと、現時点ではわかりません。
肥満の人は治りが良くないといった記事も見かけますが、私の経験ではあまり関係ないようです。
もちろん年齢、性別、症状の重症度で違いはあると思いますが。
要するに「まだわからないことだらけ」なんです。
ただ「鍼灸を病院の治療と併用して施術すると良くなる患者さんがいるようだ」と言っている医師もいるようです。
このことからも何故鍼灸をすると症状が改善するのかははっきりとはわからないが、とりあえず鍼灸治療を行えば一定数の患者さんには有効だと証明はされつつあると思います。
先ほど、なぜ鍼灸治療がコロナ後遺症に有効なのかはわかっていないと説明しました。
実際はっきりとした機序はわかっていません。
しかしまだ推測の段階ですが、作用機序がわかっている部分もあります。
以下に簡単に説明してみます。
体表に鍼灸を行うことにより、それが脳に伝わり、免疫系の組織・器官に働いて免疫系の細胞を活性化することがわかっています。
コロナ後遺症の方は免疫の乱れが酷いことがわかっていますので、鍼灸治療を行うことによって免疫機能が正常化すれば症状も落ち着いてきます。
鍼灸治療をすると脳から「エンドルフィン」「エンケファリン」といった「オピオイド」という物質が増えることがわかっています。
これらの物質は「鎮痛作用」「自律神経のバランスを整える」作用が強く、結果としてコロナ後遺症からくる痛み、自律神経症状を改善すると推察されいます。
嗅覚障害がる場合は鼻の施術、頭痛がある場合は頭痛の施術、筋肉の痛みが酷い場合は筋肉痛の施術等、鍼灸治療は各症状に対して直接的なアプローチが可能です。
このように鍼灸治療によって上記に説明した作用機序が働いてくれれば症状が改善していくパターンが多いと思います。
コロナの後遺症で苦しまれている方は多いと思います。
酷い場合は日常生活もまともに遅れなくなり、仕事を辞めてしまった方もいると思います。
コロナの後遺症に関しては、まだまだわからないことが多いようで、病院の医師も対応に苦慮していると思われます。
当院でもコロナの後遺症で来院される方を、今まで何人も診てきましたし、これからも数は増えていくと思います。
施術に関しては、基本は全身治療です。
つまり体全体を診ることによって全体のバランスを整えます。
それにプラスして、各症状の施術を加えるようにしています。
改善する人は、週に二回のペースで施術を行い、一か月もすると症状が徐々に改善していきます。
しかしまったく改善しない人もいるのも確かです。
それだけコロナの後遺症は厄介で複雑なんだと痛感させられます。
コロナの後遺症で苦しまれている方は、興味があったら鍼灸治療も試してみてはいかがでしょうか。
鍼灸は薬物のような副作用はありませんし、病院での治療と併用しても何ら問題ありませんので。
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