突然、体がフラフラして立っていられない、天井が回っている、フワフワする感じが続いている等、いわゆる「めまい」で悩まれている方は多いと思います。
めまい自体はありふれた症状で、ほとんどの方が経験したことがあると思いますが、症状が重くなり持続するようであれば「めまい症」といって立派な疾患になります。
当院のような鍼灸院にも、めまいの相談、来院の方が一定数います。
めまいを発症する原因は様々ですが、なかでも当院が得意なめまいは圧倒的に「頚性めまい」です。
頚性めまいとは、読んで字のごとく「首」が原因で発症するめまいのことです。
では頚性めまいはどのような作用機序で引き起こされるのでしょうか。
有力な説を以下にまとめます。
椎骨動脈は首の後ろ(頸椎に沿って)を走っている動脈です。
また頸動脈は首の横を走っている動脈です。
これらの動脈は主に脳に栄養・酸素を送っています。
首の筋肉の緊張が激しい人が、首を捻じった姿勢をとると容易に椎骨、頚動脈が圧迫を受けます。
この状態になると、脳が軽い酸欠状態になるので結果としてめまいが発症します。
頚部の周りには自律神経の「交感神経」密集しています。
何かしらの原因によって頚部の筋肉が過緊張を引き起こすと、交感神経も興奮してしまいます。
交感神経が興奮すると血管が収縮するので、脳への酸欠を引き起こしてめまいを発症します。
頚部の筋肉が過緊張状態になると、筋肉の中にある「筋紡錘」という感覚を司る器官が亢進するので、結果としてめまいが発症します。
頚性めまいは、様々な原因によって首の筋肉が過緊張を引き起こすと発症する疾患です。
首の筋肉が過緊張を引き起こす原因はいろいろとありますが、近年ではパソコン、スマホの過使用がほとんどです。
仕事やプライベートで使いすぎると、首の筋肉に負担がかかるので硬くなります。
結果として上記で挙げたような作用機序が起こり、めまいが発症します。
尚、頚性めまいは筋肉が原因なので病院の検査では異常は発見されません。
まあ、最近ではレントゲンを撮って頸椎が真っすぐになっている場合「ストレートネック」という解釈で頚性めまいを指摘する医師も増えているようですが。
またパソコン、スマホ以外では、むち打ち、スポーツ外傷等も頚性めまいを発症する原因になります。
頚性めまいは以下のような動作、特徴で症状を発症する場合がほとんどです。
これらの特性は、簡単な問診で容易にわかります。
近年「前庭頚筋反射」の研究が進んだことにより、めまいがある人には必ずと言っていいほど「頚部の異常緊張」があることが分かっています。
ですので当院ではめまいで来院された方が頚性めまいだと判断した場合・・・。
頚部の異常緊張に対して、鍼で緩めることを重要視して施術していきます。
頚部の筋肉や関連する筋肉をしっかりと緩めることによって、椎骨動脈、頸動脈の絞扼が取れるので、脳に酸素が十分に送られると頚性めまいは改善していきます。
頚性めまい(首が原因のめまい)以外のめまいについては鍼灸で効果があるのでしょうか。
簡単に解説してみます。
耳の中の問題です。
メニエール病、突発性難聴、急性低音障害型感音難聴等があります。
このなかで急性低音障害型感音難聴に対しては鍼灸治療での改善率は高く、当院でも得意疾患としています。
メニエール病(症候群)に関しては個人差があり、鍼灸治療で改善する場合もあります。
突発性難聴(特に時間が経ってしまった場合)については、個人的な意見としては鍼灸では難しいと思います。
脳卒中等、脳自体の異常でめまいが起こります。
脳疾患は鍼灸の適応外です。
ストレスでめまいが発症する場合があります、「心因性めまい」とも言います。
※最近では「PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)」といった病名で診断される方が増えているようです。
体のバランスを保つ「三半規管」はストレスに弱いので、過度のストレスに長期間晒されるとめまい症状を発症します。
心因性めまいの特徴としては「宙に浮いている感じ」「雲の上を歩いている」「歩くとフワフワする」といった症状を訴えます。
心因性めまいに関しては、基本は心療内科の範疇になり、薬物療法がメインになります。
尚、経験的に薬物療法と併用して鍼灸治療をすると症状の改善率は上がると思います。
詳しくは「雲の上を歩いているようなめまいはPPPD?」を参照。
まずは病院で検査をしてください。めまいの診断は難しいと言われています、できれば「めまい専門医」がいる病院がよいです。
首の筋肉が原因のめまいであれば当院の鍼治療で効果が期待できます。
近年の研究でも、めまいと首肩の緊張には密接な関係がると言われています。
首肩の筋肉を中心に、その他にも関連する筋肉に鍼をしていきます。特に首の筋肉にはしっかりと鍼をします。これは頚部にある動脈の圧迫を緩める為です。