妊娠5週目に入った頃から、吐き気が始まり、徐々に悪化。
今現在は妊娠33週目なのに、嘔吐が日に2回程続いている。
食欲もあまりなく、体重も減っている状態。
病院では「後期悪阻」と診断されていて、これといった治療はしていない。
水分はしっかりと摂れているので、しばらく様子をみましょうとなっている。
また吐き気、嘔吐以外にも、肩こり、背中の張りが酷く、身体もだるい状態が続いている。
少しでも症状が楽にならないかとネットで検索をしていると「鍼灸治療」がたくさんヒットした。
昔から、肩こり、腰痛、頭痛があって鍼灸を受けたことがあり、楽になった経験があったので家の近くで鍼灸院を検索した。
当院のホームページを見つけて内容を詳しく確認すると、悪阻のことが詳しく載っていたので来院された。
嘔吐に関しては、一日に2回は必ず吐いてしまう。
症状は徐々に悪化している感じである。
胃は常に気持ち悪く、圧迫されている感じがある。
特に食事をすると気持ち悪さが酷くなる。
背中の張りが最近は特に酷く、肩の張り感も悪化している。
食事は「豆腐」「うどん」等の柔らかくて味が薄い物は大丈夫だけど、肉等の油の多い食事は食べたくない。
吐き気は常にある感じで、これも徐々に悪化している。
身体診察では、肩甲骨周囲~横隔膜付近の筋肉が異常に張っている。
首、肩のコリも酷い状態である。
妊娠33週目で嘔吐がある。
妊娠初期から悪阻が酷い。
胃の不快感を訴えている。
食事の偏りが著名である。
これらを総合すると「後期つわり(後期悪阻)」が推察される。
仰向けで、頭、手、足のツボに鍼治療。
横向きで、首、肩、背中の筋肉に鍼治療。
温灸を背中の筋肉にかける。
前回の施術で、胃の不快感は多少楽だった。
嘔吐は相変わらず。
施術は前回同様。
胃の不快感は多少楽である。
嘔吐の回数が一回に減った。
背中の張り感はだいぶ楽になっている。
胃の不快感はだいぶ楽になっている。
日によっては嘔吐しないこともある。
首、肩、背中はだいぶ楽である。
施術は前回同様。
嘔吐はしなくなった。
吐き気もほとんど無い。
全体的に身体は軽い感じである。
施術は前回同様。
嘔吐は無い。
吐き気はまったく無い。
首、肩、背中の張りもほとんどない状態。
施術は前回同様。
今回の症例は、「後期つわり」「後期悪阻」と言われている疾患で間違いないと思います。
「後期つわり」とは、妊娠後期(8か月以降)に発症する「つわり」のことです。
しかし実際には8か月以前からも、後期つわりの症状を訴える方もいますので、そのへんは個人差があると思います。
当院でも「後期つわり」で来院される方がいらっしゃいますが、ほとんどの方が「嘔吐」していて辛いとおっしゃいます。
では何故、嘔吐してしまうのかと言いますと、「胃の圧迫」が一番の理由だと思います。
妊娠後期になると胎児も大きくなるので様々な臓器が圧迫を受けますが、胃が圧迫されると「吐き気」「嘔吐」の症状が激しくなります。
ですので胃の圧迫を軽減するのが一番の解決策だと思います。
当院では主に背中の筋肉を鍼でしっかりと緩めることによって、胃のストレスを減らすようにしています。
特に肩甲骨周囲~横隔膜の筋肉が緩めば、胃の圧迫が楽になります。
また妊娠後期になると出産のストレスから自律神経のバランスが崩れやすくなります。
これに関しても鍼や温灸を使って、自律神経のバランスを整えていけば心身の緊張も落ち着く場合が多いです。
このように当院では、後期つわりの方に関しては、上記の作用機序を考えて施術を行っていきます。
個人差はもちろんありますが、ほとんどの方が「吐き気」「嘔吐」「胃の不快感」が楽になります。
尚、当院では妊婦さんの施術に関しては、強い刺激は行いません。
硬くなっている筋肉にはしっかりと鍼を打ちますが、鍼の種類は細くて短い鍼を使用します。
また鍼から低周波のパルスを流すことも致しません。
優しい施術を心がけて、症状が改善するように勤めています。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。