当院のような「鍼灸院」には、痛み・しびれを抱えた「高齢者」の方が大勢来院されます。
高齢者の方のほとんどは「腰痛」「神経痛」「関節痛」で来院されます。
そして高齢者の方を施術していると、改善率が良い方、あまり改善されない方にはっきりと分かれます。
これは何を意味しているのでしょうか。
いろいろと原因はあると思いますが、なかでも「筋肉の量」がとても関係しているのではないかと思います。
詳しく説明してみます。
そもそも筋肉の量は「成長期(~20代)」「中年期(30代~50代)」「高齢期(60代~)」で違います。
成長期は20歳頃までを言いますが、筋肉の量は20歳頃がピークとされています。
20歳頃を過ぎると徐々に筋肉量は減っていきます。
そして70歳になると、20歳の時に比べて40%も筋肉量が減ってしまうと言われています。
また30代~50代の「中年期」にほとんど運動をしていない人は、筋肉が急激に落ちてしまうとも言われています。
要するに筋肉の量は、年齢である程度決まってきますが、生活習慣によってかなりの個人差があることも確かです。
臨床で高齢者が抱える痛みを診ていると、個々によって痛みの改善率に結構な差が出ます。
これを考えたときに、筋肉の量が重要なんだと考えるようになりました。
要するに筋肉の量がしっかりしている人は、筋肉の量が少ない人に比べて改善率が高いのです。
もちろんすべての疾患に筋肉が関係しているとは限らないのですが、痛み(しびれ)を訴える高齢者のほとんどは筋肉が深く関係していると経験的に思います。
高齢者が抱える痛みの疾患のほとんどは「腰痛」「関節痛」「神経痛」です。
この三つは筋肉の量がしっかりしていると発症しずらいですし、治りやすいのです。
例えば高齢者の腰痛は、腰椎が変形している場合がほとんどですが、腰椎を支えいている筋肉がしっかりとしていれば痛みが発症しずらいことは研究でわかっています。
関節痛に関しても、高齢者になると膝、股関節が変形していきますが、変形しただけでは程度にもよりますが痛みは発症しません。
関節周囲の筋肉が少なくなったり、硬くなると痛みを発症しやすくなります。
神経痛に関しても高齢者は「坐骨神経痛」「肋間神経痛」を発症しやすくなりますが、筋肉の量があると血行が良いので発症しずらくなります。
とにかく筋肉量がしっかりとされている場合は、筋肉をしっかりと緩めることが重要です。
筋肉をしっかりと緩めれば、筋肉は本来の性能を取り戻すことができるからです。
高齢者の場合は、骨を支える、血行を良くすることで、痛み、しびれの予防になります。
筋肉を緩める方法は様々あると思います。
簡単な方法は「温める」ことでしょうか。
筋肉は温めると柔らかくなりますし、冷えると硬くなります。
あとは睡眠も重要です。
筋肉が硬くなっている状態は、筋肉内に「老廃物」が溜まっています。
老廃物は睡眠中に流れていくので、睡眠時間が短いと老廃物は筋肉内に留まったままになります。
また筋肉をしっかりと使ったら、十分筋肉を休ませて栄養バランスも必要になります。
とにかく筋肉を硬くさせないことが重要になります。
では筋肉の量が少ない高齢者に関してはどうでしょうか。
私の経験では、やはり筋肉量が多い人に比べれると改善率は下がると思います。
特に(筋肉が原因の)痛み、しびれに関しては、筋肉量が少ないと骨・関節を支える、血行を改善する力が弱くなります。
高齢者の患者さんを施術していると、どうしても差がでます。
そしてその差は「筋肉の量」が大きく関係していると思います。
もちろんすべてではありません。
症状の程度、生活環境、筋肉の体質によっては当然個人差がありますが。
改善の良い高齢者の方は「筋肉量がしっかりしている」ことが多いのです。
当院のような鍼灸院では、鍼でしっかりと筋肉を緩めていけば筋肉本来の働きが改善されて、痛み、しびれが良くなります。
それとは逆に筋肉量が少ない方は、筋肉を緩めても筋肉自体が少ないので、症状の改善が悪いです。
ですので高齢者(75歳以上)で筋肉量が少ない方は、筋肉の量を落とさないことが重要だと思います。
筋トレは軽いもので十分です(続けることが重要です)、あとはなるべく普段の生活でも筋肉を使うようにしましょう。
ただし痛み、しびれが酷い場合は、まずはそれらの症状を改善してから筋肉をしっかりと使うようにしましょう。
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