雲の上を歩いているようなめまいはPPPD?|さいたま市西区|彩玉鍼灸院|

雲の上を歩いているようなめまいはPPPD?|さいたま市西区|彩玉鍼灸院|

雲の上を歩いているようなめまい、フワフワしためまい、宙に浮いているようなめまい等、これらのめまいは「PPPD」といった比較的新しい疾患に分類されるようになりました。
このPPPDはどのように治療するのか、鍼灸の適応なのか、説明してみます。

はじめに・・・

当院には「めまい」で来院される方が一定数いらっしゃいます。

 

一口に「めまい」といっても原因は様々です。

 

当院では主に首が原因のめまい「頸性めまい」を得意としております。

 

しかし頸性めまい以外にも、めまいの種類によっては鍼灸の適応となるめまいも当然あります。

 

なかでも問い合わせが多いめまいの症状として「雲の上を歩いているよう」「宙に浮いているよう」「歩くと地面が上下に激しく動く」といった症状に苦しむ方が多いようです。

 

このようなめまいで苦しまれている方のほとんどは病院で検査をしてもこれといって原因がわからないことがほとんどです。
症候群
そしてこのような場合、医師からは「メニエール症候群」「ストレス性のめまい」といった曖昧な診断をされることが多いようです。

 

しかし近年(2017年)、このようなめまいを「PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)」という病名で提唱されるようになりました。

 

私自身、原因不明でのめまいの方のほとんどはPPPDに該当するのではないかとも思っています。

 

それだけ原因不明のめまいで悩まれている人は多かったと思われます。

 

 

PPPDの定義とは・・・

では実際にどのようなめまいがPPPDと定義されるのでしょうか。

 

公式では「急なめまいを発症後、症状は改善したのに、雲の上を歩いているような感覚が三か月以上続いている状態」とのことです。

 

一般的に三か月以上続くめまいは「慢性めまい」と定義されますが、そのなかでPPPDと推察されるめまいは40%程を占めるのではないかと言われます。

 

要するにPPPDになると、ほとんどの方が「雲の上を歩いているような感覚」といった症状に悩まされると言うことです。

 

当院でもPPPDと思われる方にめまいの性状を伺うと、ほとんどの方が「雲の上を歩いているようだ」とおっしゃいます。

 

また人によっては「宙に浮いている感覚」「特に歩行で症状が悪化する」といった症状を訴える場合もありますが、基本的には上記の症状と同じではないかと思います。

 

 

原因は何なんでしょうか・・・

PPPDを発症する原因ですが。

 

一般的には、初期のめまい疾患が治った後も身体が目、体感からの微細な刺激に対して「脳が過剰に興奮」することにより発症すると言われています。

 

とても難しい表現なので、一般の人にはわかりずらいと思います。

 

あくまでも私の解釈ですがもっと簡単に要約すると、要するにめまいを発症した後、そのままストレスが無くならず、脳がストレスで敏感になっている状態であると思います。

 

これを「心因性めまい」と言ったりもしますが、まさにPPPDは心因性のめまいなのではないかと思います。
メンタル疾患
その証拠にPPPDになる人は、パニック障害、うつ病、自律神経失調症等を患っている人に多いからです。

 

これらの疾患は脳に極度のストレスがかかっている状態なので、その結果の一つの症状としてPPPDがあるのではないかと思っています。

 

 

治療に関して・・・

ではPPPDになってしまった場合、どのような治療があるのでしょうか。

 

今現在は「SSRI」という薬の服用が最適と言われています。
セロトニン
SSRIとは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」という薬で、脳内のセロトニンを増やす作用があります。

 

一般的には「うつ病」「パニック障害」等の精神疾患に使われることが多いのですが、「痛み止め」で使用する場合もあります。

 

その他にも目・頭・足を動かして情報伝達の乱れを改善させる「リハビリ」や、めまいの方に多い「悲観的」な考えを認知(ものの考え、受け取り方)に働きかけて心を楽にする「認知行動療法」等があります。

 

PPPDに対しては、上記で説明した三つが治療の柱になっています。

 

特に薬物療法はとても重要とされていて、薬物を服用することによって多数の方が症状が楽になっているようです。

 

 

PPPDに対して鍼灸の役割・・・

では鍼灸治療はPPPDに対して、効果が期待できないのでしょうか。

 

私個人の考えで言えば「補助的な効果は期待できる」と思っています。

 

まずPPPDに対して、鍼灸治療のみで症状が改善するかと言えば正直「無理」ですと答えます。

 

治療の中心は、やはり「薬物治療」がメインだと思います。

 

とくに「SSRI」の服用で、ほとんどの方が症状の改善をしています。

 

SSRIが効果的ということは、PPPDは「脳の機能障害」とも言えるのです。

 

なので脳に直接アプローチできるのはやはり「向精神薬」しかないと思います。

 

しかしここで重要なのは、「SSRIだけでは完全な治療とは言えない」ということです。

 

SSRIを主軸として、他の療法を加えた方がより効果的にPPPDを改善させることができると思います。

 

そしてそのなかのひとつに鍼灸治療があると思っています。

 

経験的にPPPDの方はストレスが多く、精神面に加え肉体面でも悪影響がでています。
身体の痛み
例えば、肩こり、腰痛、背中の張り、身体の怠さ等。

 

そして「肉体面での症状に対しては、鍼灸治療が有効」だと思います。

 

要するにPPPDに対しては、基本は薬物治療で行い、補助的にはリハビリ、認知療法、鍼灸等を行えばよいと思います。

 

トータルで治療に望めば、相乗効果で改善率はグッと上がると思います。

 

 

最後に・・・

「はじめに」でも説明したように、当院には「めまい」で来院される方は一定数いらっしゃいます。

 

そのなかでPPPDと思われる方も多いと思われます。

 

一昔前はPPPDという病名は無く、患者さん自身は様々な病院で検査を受けてもこれといった異常は発見されず「メニエール症候群」「心因性めまい」といったあやふやな診断をされるケースが多かったようです。

 

そして今でもPPPDをしっかりと診断できる医師は少ないようで、いろいろな病院を巡ってようやくPPPDと診断されたという方もいます。

 

それだけPPPDは診断が難しく、PPPDに詳しい医師は少ないようです。

 

因みに当院では、めまいで来院された方に対して詳しく問診を行いPPPDが疑がわれる場合はPPPDに詳しい医療機関を勧めています。

 

そしてほとんどの方がSSRIを服用して、補助的に鍼灸治療を受けて症状の改善がみられています。

 

ただしこの治療も当然ですが100%完璧ではありません、なかには改善に至らないケースもあります。

 

まずSSRIを服用したくない人も一定数います。

 

※SSRIは「抗うつ薬」に該当します、要するに「向精神薬」なので、嫌悪感を示す方もいらっしゃいます。

 

しかし最初は嫌悪権を示していても、結局は症状の辛さに耐えられないので、ほとんどの方がSSRIを服用するようですが。

 

またSSRIを服用したのは良いけれど、副作用が強くでてしまい、結局服用を断念してしまう方もいます。

 

※しかし同じSSRIでもいくつもの種類がありますので、薬の種類を変えてもらう方法もありますが。

 

 

まあ、薬物の効果に対しては正直個人差がありますので、あまり効果が無かった人もいるとは思います。

 

尚、症状の改善には個人差がありますが、ほとんどにおいて長期での治療が必要になります。

 

当院でPPPDが良くなっている人は、早くて半年、通常は一年程はかかります。

 

ですのでPPPDで苦しまれている方は、焦らず治療に専念してください。

 

薬物療法を基本として、鍼灸治療を含め他の施術法も加えていけばほとんどの方が症状から解放されると思います。


 

 

 

 

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様々な疾患について、私なりの考えを書き綴っております。

 

なるべく簡素で分かりやすくお伝えできればなと思っております。

 

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