二か月程前から、右の耳が詰まった感じになる。
何か水が入っているような、膜が張っているような感じである。
しばらく放っておいたが治らないので近くの耳鼻科に行って聴力の検査をすると、低音の領域だけ聞こえが悪くなっていた。
ステロイド、利尿剤を処方されて服用すると症状は無くなった。
その後二週間程経つと、また右耳が詰まった感じになる。
再度、耳鼻科に行って検査するとまた低音の領域だけ聞こえが悪くなっていた。
今回はステロイドは無しで、利尿剤のみ処方されたがあまり変化は無い。
ネットで検索すると、自分の症状は急性低音障害型感音難聴ではないかと思うようになった。
更に調べると、この疾患はストレスや首肩のこり等が関係していると載っていて、自分でもストレス、首肩のこりを自覚していたので確信が持てた。
そして「急性低音障害型感音難聴、施術等」で調べると、鍼灸治療が有効との記事を見かけた。
なので「自分の地域、鍼灸」で検索をすると、当院のホームページが載っていて、この疾患のことも詳しく説明していたので試しに来院された。
右耳のつまり感は、疲れがたまると特に気になる。
痛みは無い、あくまでも詰まっている感覚だけである。
耳鼻科での聴力検査表を拝見すると、低音部が少しだけ下がっている。
仕事はしていないが、親の介護でストレスがかなり多い。
首、肩のこりはかなり前から慢性的で、たまにマッサージに通っている。
触診では、首の筋肉がとても硬い。
特に右耳の下、胸鎖乳突筋が異常に張っている。
また顎関節周囲の筋肉である咬筋も硬い。
過度のストレス、首の過緊張、低音部の難聴を考慮すると。
急性低音障害型感音難聴で間違いないと推察される。
伏臥位で、首、肩、脊柱起立筋の緊張部に鍼治療。
右上の側臥位で、胸鎖乳突筋、咬筋を中心に、耳との関連が深いツボに鍼治療。
温灸器を胸鎖乳突筋にあてる。
首肩のこりは多少楽になった。
耳は変化なし。
施術は前回同様。
首肩のこりは楽になっている。
耳の詰まりは、少し良くなっている気がする。
施術は前回同様。
首肩のこりはだいぶ楽になっている。
体も軽くなった感じで、睡眠も深く寝れる。
耳の状態も良い感じ。
施術は前回同様。
耳鼻科で聴力検査をした結果、正常に戻っていた。
耳の詰まりも無い。
施術は前回同様。
今回の症例は、症状や聴力検査の結果をみると軽度の急性低音障害型感音難聴だと思います。
この疾患は、低音部のみ聴力が低下する疾患です。
何故、低音部のみが低下するのかはまだよくわかっていないのですが。
一般的には「ストレス」が関係していると言われます。
なのでこの疾患は別名ストレス難聴とも言われたりします。
実際に当院に来院している低音難聴の方のほどんどは過度のストレスを抱えている人が多く、首肩こりも酷い場合がほとんどです。
また低音難聴を発症すると、個人差はあるのですが「耳の詰まり」を訴える人がほとんどです。
その他では、耳鳴り、めまいを発症する方もいます。
そしてこの急性低音障害型感音難聴に関しては「早期治療」がカギです。
つまり症状を発症したら早めに治療すれば、比較的簡単に症状は改善します。
逆に治療が遅くなった場合は、改善に時間を要します。
因みに当院ではこの疾患に対しては、自律神経のバランスを整える、首の筋肉を緩めることを重要視しています。
まず後頚筋、脊柱起立筋に鍼をして自律神経のバランスを整えることにより、心身のストレスを改善してリラックスした状態にしていきます。
次に首(特に悪い側の耳下)の筋肉を緩めることによって内耳の血流を改善していきます。
低音難聴の場合、内耳にある「蝸牛」が浮腫んでいる場合があるので血流を改善して浮腫みを改善していきます。
またこの疾患に罹患する人はストレスで「歯ぎしり」をしている場合が圧倒的に多く「咬筋」が硬くなっている場合も多いので咬筋にも鍼をしていきます。
これらを行うことによって、体のストレスが改善して、内耳の血流が良くなると、耳の詰まりをはじめ低音の難聴も改善されやすくなります。
だたし、この疾患はストレスが長期にかかってくると再発もしやすいので注意が必要です。
関連ページ・・・
首、肩こり・・・「得意な疾患より」
急性低音障害型感音難聴・・・「得意な疾患より」
自律神経失調症・・・「得意な疾患より」
頑固な首、肩のこり・・・「症例集より」
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。