二週間ほど前から、左の肋骨周囲が痛い。
特に腰を捻じったり、咳、くしゃみをすると「ズキッ」と痛む。
整形外科に行き、レントゲンを撮ったが骨には異常が無かった。
一応、診断名は「肋間神経痛」。
痛み止めを処方された。
しばらく様子をみていたが、痛みは一向に良くならないので当院に相談の電話がきた。
この方は元々、腰痛があって過去に当院で施術を受けた経験があったので、今回も鍼治療で良くなればと来院された。
痛みの性状を伺うと、安静にしていると痛みは全く無い。
痛むのは特に咳をした時で、神経に沿ったような痛みが辛い。
また、深く呼吸をしても肋骨に響く痛みがある。
何故、痛くなったのか自分では原因に心当たりは無い。
睡眠は、寝返りをすると痛みで起きてしまい、寝不足である。
触診では、左の背中に筋肉の異常な緊張が見受けられる。
左の肋間部を軽く触ると、痛みが走る。
痛みの性状、背中の筋肉の張りを総合すると。
左の肋間神経痛だと推察される。
伏臥位で、背中の筋肉の緊張部に鍼治療。
左上の側臥位で、痛みのある領域の肋間部に鍼治療。
痛みのある肋間部に、温灸器をあてる。
背中の張りは、少し楽になった。
肋間部の痛みは変化なし。
施術は前回同様。
背中の張りはだいぶ楽になっている。
肋間部の痛みは変化なし。
施術は前回同様。
背中の張りはかなり楽になっている。
肋間部は急に痛みが楽になる。
施術は前回同様。
背中は楽。
肋間部の痛みもほぼ無くなっている。
施術は前回同様。
背中は楽。
肋間部の痛みも気にならない。
施術は前回同様。
今回の症例は、単純な「肋間神経痛」だと思います。
単純な肋間神経痛とは、ほとんどにおいて「背中の筋肉」が原因です。
これは肋間神経が背中から伸びているので、背中の筋肉が硬くなることによって肋間神経を絞扼してしまうと神経痛を発症しやすくなります。
現にこの方の背中の緊張はとても激しく、背中の緊張を緩めることによって肋間神経の絞扼が無くなって痛みが改善しています。
また肋骨の間には「肋間筋」という筋肉があります。
背中が硬くなっていて肋間神経痛を発症している人は、肋間筋も硬くなっている場合がほとんどです。
ですので当院では、背中の筋肉に加えて肋間筋も鍼でしっかりと緩めていきます。
当院に来院される肋間神経痛の方達で改善率が高いのはこの単純な肋間神経痛になります。
一方、改善率が悪い肋間神経痛があります。
それは「帯状疱疹後の肋間神経痛」です。
これは帯状疱疹に罹患して、帯状疱疹は治っているのに肋間神経の痛みだけが残っている疾患です。
この疾患は年配の人に多いのですが、これは当院の鍼灸治療でも改善率が悪いです。
あとは外傷性の肋間神経痛で、例えばスポーツで肋骨を骨折してしまい、その後遺症として肋間神経痛を発症する場合です。
この場合は個人差があるのですが、ある程度痛みを取ることは可能です。
ただ後遺症になっている場合は、陽気の変わり目や疲れがたまると痛みがぶり返すことも多くなります。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。