朝、起きたら右の首が相当に痛い。
少しでも首を動かすと、激痛が襲ってくる。
仕事には行かなくてないけないので、何とか着替えて出社する。
仕事は営業で、車を運転しなくてはならないが、痛みで横を向いたり、後ろを振り向くことができない。
数年前に首のこりが激しい時期があり、当院で鍼治療をして楽になった記憶があったので、すぐにネットで電話番号を調べて連絡してきた。
二時間後に空きがあったので来院してもらう。
とにかく右の首が激痛で、ほとんど動かせない。
頭痛、手のしびれ等は無い。
右首を触ると筋肉に熱をもっている感じで熱い。
朝起きたときの激痛。
動作での痛みが強い。
神経症状は認められない。
これらを踏まえると、寝違え(急性疼痛性頚部拘縮)だと推察される。
右上の側臥位で、胸鎖乳突筋、斜角筋を中心に、炎症を起こしている筋肉に鍼治療。
微弱電流を、炎症がある部分にあてる。
前回、施術後には痛みがほとんど無くなった(痛み指数10→3)
施術は前回同様。
痛みはほとんど無い(痛み指数3→0)。
首を回したり、曲げても痛みは感じない。
施術は前回同様。
今回の症例は、よくある「寝違え」です。
寝違えの正式な病名は「急性疼痛性頚部拘縮」といいますが、「寝違え」の方が分かりやすいですね。
寝違えは、寝ている時に長時間変な体勢をとっていると一部の首にストレスが過度にかかって発症します。
人間は普通、本能的に寝返りをうつので一部にストレスはかかりませんが、何らかの原因で寝返りが出来なかった場合に発症しやすいといえます。
寝違えの方達を診ていると、「ストレスが多い」「酒飲んで寝た」「小さい子供と寝た」場合が多いですね。
これらはいずれも「寝返りをしない」状態に陥りやすいのです。
では寝違えを発症した場合、首はどのような状態になっているのかというと。
ほとんどの場合、首の筋肉や関節部に炎症を引き越こします。
そしてこれが寝違いの痛みの正体です。
要するに寝違いを発症しての激痛は、筋肉が硬くなって痛いのではなくて、炎症で腫れている痛みです。
そもそも炎症の痛みは、筋肉のこりの痛みと違い「激痛」です。
これは捻挫やぎっくり腰でも同じです。
筋肉内に炎症を引き起こすと、「ズキズキ」といった疼く痛みになって我慢できません。
ですので寝違えを発症すると、首を少しでも動かすと激痛が襲ってくるのです。
では当院では寝違えの方にはどのような施術をするのかと言いますと。
まずは炎症を抑えることを第一に考えます。
基本は、炎症部に鍼をしてそこから微弱電流を流します。
微弱電流には様々な効果が示されていますが、炎症を抑える作用もあります。
筋肉内に刺した鍼から直接微弱電流を流すので、直接的に筋肉の炎症を抑える効果が期待できます。
尚、炎症部に鍼をする場合はなるべく強刺激はしません。
強刺激を与えてしまうと個人差はありますが、場合によっては炎症を悪化させてしまうことがあるからです。
ですので当院では炎症疾患がある方には、鍼の刺激は弱めに行っていきます。
寝違え等の炎症性疾患は個人差はありますが、ほとんどにおいて数回の鍼治療で症状は改善します。
寝違えを起こしてしまい、痛みが辛い方は早めに鍼治療をお受けください。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。