「逆子」という言葉は、誰しも聞いたことがあると思います。
簡単に説明すると「逆子」とは、胎児の頭が下にきていない状態をいいます。
この逆子ですが、正式な名前は「骨盤位」といいます。
因みに胎児の頭が横にあるのは「横位」、斜めにあるのは「斜位」といいます。
妊娠初期の段階では逆子になっていることも多いのですが、ほとんどの場合は時間が経つにつれて正常(頭位)になります。
しかし妊娠中期になっても正常にならない場合は、なにかしらの対処が必要になってきます。
なぜ逆子になるのか、はっきりとした原因はわかっていません。
ですが有力な説はいくつかあるので以下に説明します。
これらに関しては確固たるエビセンスがあるわけではないので一概には言えないのですが。
羊水の量や婦人科系疾患の既往等は、原因の可能性は高いといわれているようです。
ただ、上記の原因に当てはまらなくても逆子になるケースも多々あるので実際にはわからない部分がほとんどだと思います。
逆子が治らない場合は、どうするのでしょうか。
まず病院では、いくつかの選択肢があります。
体操といっても実際は胎児が動きやすいポーズをするだけです。
簡単に行えますが、改善率はあまり良くないといわれています。
外回転術とは、超音波で胎児の向きを確認して、術者がお腹の上から胎児の頭、お尻持って回転させる術式です。
成功率は60%程と言われています。
だたし頻度は低いですが合併症のリスクもあるようです。
具体的には、破水、出血、胎盤剥離、心音異常等があります。
逆子が治らなかった場合、胎児の脳障害を考慮して基本は帝王切開になります。
帝王切開のデメリットとしては、手術痕、癒着、開腹に関連する合併症等があります。
いろんな施術があると思いますが、基本的には「帝王切開」になる場合が多いと思います。
昔から「逆子には鍼灸」と言うほど、逆子に対しての鍼灸治療は有名なんです。
逆子の方に鍼灸治療をすることにより、胎児が動いて「頭位」になります。
改善率ですが全日本鍼灸学会での統計によると89.9%だったそうです。
当院でも逆子の施術は積極的に行っていますが、いずれも改善率は80%以上です。
逆子に対しての鍼灸の作用機序ですが、はっきりとしたエビデンスはまだありません。
一般的に言われているのは、特定のツボに鍼灸をすることによって、自律神経の反射により臍帯動脈、子宮動脈が拡張して子宮の血流が増加します。
子宮の血流が増加すると、子宮筋層が緩むので、結果として胎児が動くのではないかと言われています。
尚、鍼灸はこれといった副作用はありません。
ですので安心して逆子での鍼灸治療を受けることが可能です。
逆子での鍼灸治療ですが、29週前後がお勧めです。
これは胎児がちょうどよい大きさになっているからです。
つまりこの時期に鍼灸治療を受ければ高い確率で逆子が治るということです。
私の経験からいっても、28週~30週での施術が改善率が良いです。
因みに34週を過ぎると改善率は急激に悪くなっていきます。
よく「逆子の灸」といって、足の小指の先端にお灸をすると逆子が治ると言われます。
当院でもこのツボにお灸をします。
しかし実際には、妊婦さんの体の状態によって他のツボにも鍼や灸を使います。
たとえば足の冷えが酷い場合は、三陰交、陰陵泉といったツボを使いますし。
腰が張って痛い場合には、腰の施術も行います。
つまり同じ逆子でも、妊婦さんの体質、症状によって施術するポイントは違うわけです。
一致しているのは「弱い刺激」で行うということです。
ただでさえ妊婦さんには出産のストレス、緊張があります。
したがって鍼灸による刺激もソフトな刺激で行っていきます。
鍼灸治療に関しては、副作用がほとんどない体に優しい施術です。
逆子でお困りの方は、安心して鍼灸治療を受けてみてはいかがでしょうか。
すべての方の逆子が治る保証はありませんが、29週前後に施術すれば高い確率で逆子が治りますよ。
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