まず腰痛とは病名ではありません。様々な原因によって起きる腰の痛みの総称をいいます。
腰痛のなかでも、病院の検査(レントゲン、MRI、血液)で腰痛の原因が特定できるものを「特異性腰痛」、原因がわからないものを「非特異性腰痛」といいます。
腰痛はもはや国民病で、厚労省の発表では腰痛を訴える人は2800万人もいるそうです。
この腰痛ですが、実は85%の人が病院で検査しても「異常なし」「原因不明」と診断されるそうです。
実際に当院に来院される腰痛の方のほとんどが病院で検査をしても異常が無いと診断されています。
では何故、痛みがあるのに異常なしと診断されてしまうのでしょうか。
まず、病院の検査で原因が分かるのは「ヘルニア」「狭窄症」「骨折」等の器質性の疾患です。
これらは物理的な疾患なのでMRIを撮れば容易に診断できます。
しかしそれ以外、つまり機能性の疾患では検査ではわからないのです。
私の経験からすれば、腰痛の訴える人のほとんどは筋肉が原因です。
つまり腰の筋肉が何らかの原因で硬くなっていたり、炎症をおこすと「痛み」を発症するのです。
因みに筋肉が原因の腰痛を「筋・筋膜性腰痛」といったりします。
その他には「腰椎椎間関節症」「仙腸関節症」等の関節部に炎症を起こしている場合もあります。
腰痛のなかでも筋肉が原因の腰痛に関しては鍼治療がとても効果が期待できます。
なかでも当院では特に「頑固な腰痛」に対して、実績があります。
頑固な腰痛とは慢性化した腰痛のことで、何か月、何年も痛みが続き何をしても痛みが改善しない状態をいいます。
実はこの状態になっている腰痛は、腰の筋肉のなかでも深い部分の筋肉に問題がある場合が多いのです。
俗に言う「インナーマッスル」「深層筋」と言われている筋肉です。
腰で言えば「大腰筋」「腸骨筋」「多裂筋」「腰方形筋」等がこれになります。
これらの筋肉が硬くなってしまうと、辛い痛みに苦しめられることになります。
当院ではこのような状態になってしまった腰痛に対してはインナーマッスルに届くよう「長い鍼」で施術していきます。
基本的には「中国鍼」を使用します。
中国鍼は様々な種類がありますが、なかでも長い鍼を使用します。
中国鍼でインナーマッスルにアプローチすることにより、筋肉内の血流が改善して老廃物を除去したり、神経の絞扼を改善して痛みのパルスを抑えます。
個人差はもちろんありますが、ほとんどの方が当院の施術によって頑固な腰痛を改善しています。
では筋・筋膜性腰痛以外の腰痛はどうなんでしょうか。
ケースバイケースなんですが簡単に説明していきます。
腰椎椎間関節症は腰椎の関節部、仙腸関節症は仙腸関節部にストレスがかかっている症状です。
この場合は、関節部のストレスを改善すると容易に楽になります。
当院でもほとんどの方が数回の施術で楽になります。
腰椎のヘルニアに関しては、ヘルニアの状態によって違います。
ほどんどのヘルニアは手術の適応にはならず、この場合「保存療法」になりますので、そのなかのひとつに鍼治療も入ると思います。
軽度であれば、ヘルニアの組織に鍼をすることによって代謝を上げることにより「マクロファージ」が増えます。
マクロファージはヘルニアのなかにある「髄核」を捕食してくれるので、結果としてヘルニアは改善します。
ただし重度の場合は椎間板(軟骨)そのものが飛び出している場合もあり、神経障害も強く出ます。
この場合は鍼灸の適応にはならないと思います。
脊柱管狭窄症は物理的に脊柱管が狭くなっている状態です。
鍼灸治療で物理的な疾患は治せないので、この疾患で鍼灸自体は不適応です。
しかし、狭窄症で来院される方のほとんどは「間欠性跛行」の改善で来院されます。
間欠性跛行は狭窄症の症状のひとつで、歩くと足がしびれて動けなくなってしまう症状です。
歩行距離は個人差がありますが、ひどいと方だと数十mの歩行でしびれを発症する方もいます。
狭窄症で当院に来院される方は、狭窄症を改善するのではなく間欠性跛行の改善を目的として来院されます。
個人差はありますが、ほとんどの方が歩行距離を伸ばすことができます。
ほとんどの腰痛が鍼灸の適応です。ただし、馬尾神経の圧迫、内臓疾患等は適応外です。
筋肉が原因であれば、当院の鍼治療がお役にたてると思います。頑固な筋膜性腰痛のほとんどはインナーマッスルの緊張が原因です。この場合、長い鍼を使用してしっかりとインナーマッスルにアプローチしていきます。
大丈夫ですよ。基本的に軽度の腰痛症では和鍼(細くて短い鍼)を使用します。表層部の筋肉を緩めて血流が良くなれば楽になります。
ストレスと腰痛は深い関係があります。一般的に「心因性腰痛」と言います。この腰痛は「自律神経」が深く関係しているので、当院では自律神経のバランスを整えることを重要視して施術します。