数値で判断する低音難聴の重症度 |さいたま市西区|彩玉鍼灸院|

数値で判断する低音難聴の重症度 |さいたま市西区|彩玉鍼灸院|

聴力検査で低音部が下がっている場合、どのくらい下がっていると重症なのでしょうか。
私の経験から説明してみます。

はじめに・・・

「耳が詰まった感じ」「聞こえが悪い」「耳鳴りがある「めまいが酷い」、このような症状で病院に行くとほとんどにおいて「聴力検査」をすると思います。
聴力検査
「聴力検査」とは、読んで字のごとく「耳の聞こえを検査」することを言います。

 

そして聴力検査での結果を表したグラフを「オージオグラム」と言います。

 

オージオグラムには左右の低音部~高音部の聴力の結果が記入されています。

 

そして聴力の指標は数字で表されているのですが、この数値が平均値を超えている場合は「難聴」と診断されます。

 

しかし、同じ難聴でも検査の数値によって軽傷~重症に分かれます。

 

今回は急性低音障害型感音難聴に絞り、私の経験上どこからが軽傷で、どこからが重症かを説明してみたいと思います。

 

 

オージオグラムの見方・・・

まずは「オージオグラム」の見方から説明してみましょう。

 

オージオグラム

 

まず横のライン(Hz)、向かって左側(125)が「低音部」。

 

数値が大きくなるに従って、高音になっていきます。

 

また縦のライン(dB)、上から(−20~130)までありますが、これは聴力(聞こえ)の度合いを表します。

 

この検査ですが、一般的な平均値は、低音、高音共に25㏈未満が正常とされています。
オージオグラム(正常)
少し見ずらいですが、赤い記号は右の聴力、青い記号は左の聴力を表します。

 

両耳とも低音部~高音部まで20㏈付近を指しています。

 

次に軽度の低音難聴を見てみましょう。
軽度難聴
右の低音部(125~500)の聴力が50㏈付近にあります。

 

この数値になると個人差がありますが、軽度の難聴が認められる場合があります。

 

次は中程度の低音難聴を見てみましょう。
中程度難聴
右の低音部(125~500)の聴力が70㏈付近にあります。

 

この数値になると中程度の難聴になります。

 

そして重度になるとこのうようになります。
重度難聴
右の低音部(125~500)の聴力が90㏈付近にあります。

 

この状態になると低音部はまったく聞こえません。

 

このように㏈の数値が上がっていくにつれて難聴の度合いが悪くなっていきます。

 

上記では低音部の難聴を例に挙げましたが、突発性難聴等は高音部も数値が高くなります。

 

 

当院に来院されるのは圧倒的に「軽度」の方です・・・

当院では急性低音障害型感音難聴の施術を得意としていて、ホームページにも詳しく掲載しています。

 

ですので急性低音障害型感音難聴の来院率は高いようです。

 

私はこの疾患で来院される方には「オージオグラムがあるのであれば持ってきてください」と言ってます。

 

ほとんどの病院ではオージオグラムをいただけるので、初診時に持ってきてもらいます。

 

この疾患は低音部のみが障害されるので、オージオグラムを拝見すると低音部の㏈が高くなっているのですが。

 

ほとんどの方が「軽度」の低音難聴です。

 

つまり左右どちらかの低音部の聴力が30から50㏈の値になっていることがほとんどなのです。

 

 

軽度の低音難聴の場合は、深刻に考える必要はありません。

はっきり言って低音部が40㏈程度であれば、経験上あまり心配はいりません。

 

じつは低音部はストレス等の疲れが溜まっている場合、35~45㏈程は容易に聴力は下がるのです。

 

もちろんすべての方に当てはまるわけでは無いのですが、聴力と精神的な疲れは密接な関係があるので、過度のストレスが続くと低音の聴力は下がりやすくなります。

 

ですのでこのような軽度の低音難聴で来院された場合、「この程度なら大丈夫です」とお答えしております。

 

患者さんによっては「治らないのではないか」「悪化したらどうしよう」といった過度の不安に苛まれている場合も多々あります。

 

しかし先ほど説明したように35~45㏈程度であれば、過度に心配するレベルではありません。

 

この時点でしっかりと治療して生活の改善を行えば、ほとんどの方が改善します。

 

 

中程度や重度になった場合は、しっかりと治療することが重要・・・

低音部が70を超えた場合はしっかりとした治療が必要です。

 

70㏈を超えると生活にかなりの支障がではじめます。

 

まず低音部がほとんど聞こえなくなるので、男性の声は聞こえなくなります。

 

また耳鳴りも酷くなる場合がほとんどで、寝ていても耳鳴りがうるさくて不眠になることも多いようです。
蝸牛
ここまでくると内耳の蝸牛がかなりの割合で浮腫んでいることが多く、「利尿剤」等の薬物療法が必須になります。

 

私生活でもしっかりとした生活改善が必要になります。

 

 

怖いのはメニエール病に移行してしまうこと・・・

急性低音障害型感音難聴ですが発症者の10~22%がメニエール病に移行することがわかっています。
メニエール病
メニエール病とは、回転性のめまいを主軸に、耳鳴り、難聴を伴う厄介な疾患です。

 

急性低音障害型感音難聴が長期に及び、自律神経のバランスが長期に崩れるとメニエール病に移行するようです。

 

一般的に急性低音障害型感音難聴は、ちゃんと治療すれば比較的治りやすい疾患なのですが、メニエール病に移行してしまうと完治は難しくなります。

 

ですので重要なのは、低音難聴の段階でしっかりと治すことです。

 

この段階でしっかりと症状を改善しておけば、メニエール病に移行することはないと思います。

 

 

最後に・・・

低音部の難聴は、ほとんどにおいて「ストレス」とリンクしている場合がほとんどです。
ストレス
要するにストレスが過度に溜まっていると、その代償として「耳」に症状が発症する訳です。

 

当院に来院される急性低音障害型感音難聴の方のほとんどは「治らなかったらどうしよう」「悪化したら困る」等、心配になっていることがほとんどです。

 

しかし安心してください、軽度の低音難聴であればほとんどの方がしっかりと治療して生活環境を整えれば改善します。

 

ただしこの疾患は再発率も高いので、せっかく良くなってもまたストレスが溜まってくると悪化する場合があります。

 

また軽度であれば改善率も高いですが、重度になると改善率は悪くなります。

 

まずはオージオグラムを見て、30~40㏈程度であれば、深刻に悩まなくて大丈夫です。

 

しかし70㏈~90㏈まで下がっている場合は深刻に考えましょう。

 

とにかく低音部が聞こえずらくなった場合は、なるべく早めに対処してください。

 

軽度であれば鍼灸治療で十分改善する可能性はありますからね。


 

 

 

 

症例ブログについて・・・

様々な疾患について、私なりの考えを書き綴っております。

 

なるべく簡素で分かりやすくお伝えできればなと思っております。

 

このサイトを見て、医療に関する一般の方への理解が深まれば幸いです。