スマホが原因の内斜視の症例-埼玉県さいたま市西区|彩玉鍼灸院

スマホが原因の内斜視の症例-埼玉県さいたま市西区|彩玉鍼灸院

スマートホン、パソコンの使いすぎによって、目が内側に寄ってしまった方の症例です。

左目が内側に寄ってしまい動かない 20代 男性

症状・・・

4か月前に物を見ると何故か二重に見えた。

 

びっくりしたが、しばらく様子をみていると二重に見えることは無くなっていた。

 

だが一か月前にまた二重に見えるようになってしまった。

 

数日様子をみたが今度は元に戻らず、二重に見えている。

 

急いで病院の眼科で診てもらうと、左の眼球が内側に寄っていると診断された。

 

診断名は「左の内斜視」。

 

専用の眼鏡を勧められて使用すると二重に見えることは無くなったが、外すとまた二重に見えてしまう。

 

最終的には手術もあるようだが抵抗がある。

 

他に治療法がないものかとネットで検索すると、病院以外の施術法がたくさん出てきたが、鍼灸が良いのではと思うようになる。

 

職場近くの鍼灸院を探していたら当院のホームページを見つけて、目の疾患に関することを詳しく載せていたので一度試してみたくなり来院された。

 

 

医療面接・身体診察・・・

症状を詳しく伺うと、遠くをみると物が二重に見えるが、近くの物は普通に見える。

 

病院の検査では眼圧等、眼球そのものは問題がない。

 

脳のMRIも受けたが脳にも問題がない。

 

四か月前は、数日で治まったが、今回は急に二重に見えるようになって症状は固定している。

 

仕事の内容を伺うと、エンジニアでパソコンを長時間使う。

 

仕事以外でもスマートホンを長時間使用していて、特に動画を見たりゲームをすることが多い。

 

夜も遅くまで起きていることがほとんどで、スマホを寝る直前まで見ていることがほとんどである。

 

身体診察では、左の眼球が内側に寄っている。

 

首の筋肉が過度に硬くなっている。

 

 

考えられる疾患名・・・

物が二重に見える。

 

近くを見たときは通常に見ることができる。

 

眼球に異常は無い。

 

パソコン、スマホを過度に使用している。

 

これらを総合すると「スマホ急性内斜視」と推察される。

 

 

治療方針・経過・・・

  • 「内直筋」を緩ませる為、目の内側周囲に鍼治療を行う。
  • 目への血流を改善させる為、首、肩、背部の筋肉に鍼治療を行う。
  • 施術は週に二回のペースで行う。
  • 鍼は目の周囲には3cm、背部の筋肉には4cmの鍼を使用する。
  • 背部のみ鍼から低周波のパルスを流す。

 

第一回・・・

仰向けで、左の目の内角に鍼治療。

 

うつ伏せで、首、肩、背中の筋肉に鍼治療。

 

第二回・・・

まだ症状に変化はない。

 

施術は前回同様。

 

第三回・・・

首のコリは楽になっている。

 

目の症状は変わらない。

 

施術は前回同様。

 

第四回・・・

睡眠が深くなってよく眠れるようになった。

 

首肩のコリも楽になっている。

 

目の症状は変化なし。

 

第五回・・・

身体は楽になっている。

 

目に関しては、少しずつピントが整ってきた。

 

施術は前回同様。

 

第六回・・・

遠くを見ても、二重に見えることはなくなってきた。

 

施術は前回同様。

 

第七回・・・

ピントはしっかりと整っている。

 

施術は前回同様。

 

第八回・・・

ピントはしっかりと整っている。

 

視界がくっきりとして明るく見える。

 

施術は前回同様。

 

  • 症状が改善されたので、一旦終了とした。

 

 

考察・・・

今回の症例は俗にいう「スマホ急性内斜視」だと思います。

 

この疾患はスマートフォン等を長時間使い続けていることで発症すると言われています。
内直筋
目には眼球を動かく筋肉が複数あるのですが、スマートフォン等を近くで見続けていると眼球を内側に動かす「内直筋」という筋肉が固まってしまうことがあります。
内斜視
内直筋が固まっている状態では筋肉自体が短くなっているので眼球はそちらにひっぱられる「内斜視」になるわけです。

 

この状態になってしまうと、遠くを見たときに眼球が外側に向かないので視覚にズレが生じてしまうのです。

 

ですのでこの疾患の特徴として、近くを見るときは正常に物が見えるのですが、遠くを見ると物がダブって見えてしまいます。

 

スマホ急性内斜視は近年増加傾向にあるとされていて、10代~20代に多いと言われていますが、最近では30代、40代での発症も増えているようです。
スマホ止める
この疾患に罹患した場合は、まずはスマートフォンの使用を極力抑えることが重要です。

 

またスマートフォン以外にも、パソコン、テレビゲームも控えましょう。

 

特にスマートフォンを寝る直前まで使用している人は止めないと症状は改善しません。

 

治療に関しては、病院では「調節眼鏡」があります。

 

この眼鏡をかけると症状は無くなりますが、外すと元に戻ってしまうので根本的な解決にはなりません。

 

最終的には「手術」が検討されますが、ほとんどの方は手術に抵抗があるようです。

 

では当院(鍼灸)では、この疾患をどのように施術していくのか解説してみます。

 

まず内直筋が拘縮しているので、この筋肉を緩ませる為に鍼をします。

 

内直筋は目の内側にあってとても細い筋肉です。

 

ですので直接内直筋に鍼を刺すのは難しいのですが、筋肉の周囲に鍼を刺すことで周囲の血流が良くなって結果的に内直筋が緩みます。

 

ここで重要なのは、内直筋近くに届くまで鍼を刺入するので、必然的に鍼を深めに刺入するということです。(一方、一般的な「眼精疲労」では目の周囲に浅く(数ミリ)鍼を刺入します。)

 

しかし内斜視等の内直筋の拘縮に関しては、筋肉に影響を及ぼすまで刺入する必要があるので必然的に数センチの刺入が必要になります。

 

「目の脇に数センチも刺入」というと恐怖を感じる方もいると思いますが、実は目の周囲は隙間も多く以外にも鍼を数センチ刺入しても問題ありません。

 

しかし目の周囲は場所的に「内出血」しやすく、滅多にはないのですが内出血してしまうこともあります。

 

ですので当院では、目の周りに鍼を深く刺入する場合については患者さんの許可を経て行うようにしています。

 

まあ内出血をしたとしても問題はほとんど無く、一週間程で勝手に治りますのでご安心を。

 

その他、目に関連する筋肉も鍼でしっかりと緩めていきます。

 

特に後頸筋群、菱形筋に関しては、目の関連が高いのでしっかりと鍼で緩めます。

 

内直筋、背部の筋肉が鍼で緩めば、個人差はありますが徐々に症状は改善すると思います。

 

ただしこの疾患に関しては、早期での治療が絶対必要です。

 

時間がたってしまうと、脳がこの症状(状態)を記憶してしまうと言われていて、治療しても元に戻らなくなってしまうようです。

 

現代は「ネット社会」と言われ、目を酷使することが増えていますが、複視等の目の疾患を発症したら早めに対処してください。

 

まずはスマートフォンの使いすぎを止めましょう。

 

早期であれば鍼灸治療も適応ですので、興味があれば鍼灸治療も試してみてください。


 

 

 

 

疾患症例集について・・・

臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。

 

これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。

 

尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。