数か月前から、顔のほてりが酷くなる。
ほてりの他には、手足の冷え、体がだるい、肩のこりが激しい等。
病院で血液検査をして「更年期でしょう」と診断された。
ホルモン補充療法を勧められたが副作用が心配で、内服薬は断ったが貼り薬は使用することになった。
貼り薬を使いだして、顔ののぼせ、手足の冷えはだいぶ楽になり、イライラ感も落ち着いてきた感じ。
しかし肩のこりを中心に、首、背中、腰の張りが良くならず、辛い日が続いている。
漢方薬も気になったが、筋肉のこりで検索すると「鍼灸治療」が良いと思うようになった。
家の近くで鍼灸院を検索すると、当院のホームページを見つけ、筋肉のこり、痛み等が詳しく載っていたので来院された。
更年期特有の症状は薬のおかげで落ち着いている。
ただし、首、肩、背中、腰の張りは相変わらずで、特にストレスが溜まると悪化する。
こり、張りが酷い日が続くと、体全体が怠くなる。
お風呂でゆっくりリラックスすると、張り感は楽になる。
私生活では、仕事はしていないが、子供のこと、両親のことでストレスを抱えている。
性格は、真面目、心配性、気に病む性格である。
触診すると、肩の筋肉の緊張がかなり激しい状態。
脈診すると「細」「緊」脈である。
血液検査で、エストロゲンの減少が分かっている。
症状を総括すると、更年期障害だと推察される。
仰臥位で、頭、手、足のツボに鍼灸治療。
伏臥位で、首、肩、背中、腰の筋肉に鍼治療。
首、肩に温灸器を充てる
体全体が多少スッキリとした感じがある。
夜も深く眠れた。
筋肉の張りはまだある。
施術は前回同様。
体は楽になっている感じがある。
深く眠れるようになった、朝も爽快に起きれる。
筋肉の張りも良くなっている。
とても楽になっている。
筋肉の張りもほとんど気にならない。
施術は前回同様。
今回のケースは、俗に言う「更年期障害」です。
更年期障害は、50歳前後に「エストロゲン」というホルモンが低下することによって発症すると言われています。
しかし実際はそんな単純なものではなく、人間関係のストレス、性格の問題、病気等の肉体面等が複雑に混ざりあって更年期障害という症状を作り上げているのです。
ですので更年期障害を改善しようと思ったら、いろんな側面からアプローチすることが大切だと思ってます。
そしてそのなかのひとつに「鍼灸」があると思います。
鍼灸治療は経験的に言っても「更年期障害」の適応です。
まず鍼灸治療を行うことにより、自律神経のバランスが整います。
更年期の人は必ずと言っていいほど自律神経のバランスが崩れています。
それは年齢、社会的・肉体的ストレス、性格等が大いに関係しています。
また更年期障害の人はイライラ、ホットフラッシュ、動悸、頭痛等様々な症状を併発しますが、そのなかに「筋肉のこり、緊張」があります。
これは自律神経の交感神経が亢進するときに、その反応として筋肉が過緊張を引き起こすからです。
特に首、肩の筋肉に症状を訴えやすく、酷くなると背中、腰の筋肉も辛くなります。
このように様々な症状を呈する更年期障害ですが、筋肉のこり、張り、痛みに関しては、西洋医学の治療よりも鍼治療の方が有効だと思っています。
それは鍼治療が直接筋肉にアプローチすることが出来るからです。
鍼を直接硬くなっている筋肉にアプローチすることにより、筋肉中の血流が改善して筋肉が緩み、筋肉内にある交感神経の締め付けが緩みます。
交感神経の締め付けが緩めば体の緊張が緩むので、体全体の怠さも改善します。
このように鍼灸治療は更年期の症状の改善に有効であると思っています。
基本は西洋医学の治療と併用すれば、お互いの相乗効果で改善率が高まります。
更年期が辛い場合には、定期的に鍼灸治療を続けることによって楽に更年期を過ごすことが出来ると思いますよ。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。