腱鞘炎(ドケルバン病)の症例-埼玉県さいたま市西区|彩玉鍼灸院

腱鞘炎(ドケルバン病)の症例-埼玉県さいたま市西区|彩玉鍼灸院

右の腱鞘炎(ドケルバン病)の症例です。
関連する筋肉を鍼で緩めることで腱鞘にかかる負担を減らして痛み(炎症)を抑えていきます。

右親指付け根が痛い 50代 男性

症状・・・

数年前から右の親指の付け根~手首の付近に痛みがあった。

 

仕事は中華料理を経営していて、自分も厨房に立っているので、要は使いすぎだと思っている。

 

特に鍋を使っている時に痛みがある。

 

ここ最近、痛みが明らかに悪化していて病院に行くと「腱鞘炎」と診断された。

 

一応、痛み止め、湿布を処方されて様子見ということになった。

 

痛みが酷い日は、痛み止めを飲むと痛みはだいぶ治まるが、あまり痛み止めばかり飲んでいるのが怖くなっている。

 

かといって仕事を休むわけにはいかないので困ってしまう。

 

病院以外にも何か解決策はないものかとネットで情報収集をすると、鍼治療が有効と載っていたので試してみたくなった。

 

職場の近くの鍼灸院を検索すると、当院が載っていて良さそうだったので来院された。

 

 

医療面接・身体診察・・・

痛みの性状を伺うと、ズキズキと疼く痛みである。

 

安静にしていると痛みはほとんど気にならない。

 

仕事で手首を使っていると徐々に悪化してくる。

 

とにかく仕事に影響があるのが怖い。

 

右前腕部を触診すると、筋肉の張りが酷い。

 

母指球、腕橈骨筋の筋肉が異常に硬くなっている。

 

首、肩、肩甲骨周囲の筋肉も過緊張がみられる。

 

 

考えられる疾患名・・・

手首の過度の使用によって症状が発症している。

 

痛みの性状がズキズキといった炎症性の痛みである。

 

痛む部分が手首~母指球である。

 

これらを踏まえると「ドケルバン病」と推察される。

 

 

治療方針・経過・・・

  • 鍼治療で前腕の筋肉、特に短母指伸筋、長母指外転筋の筋肉の緊張を緩和させる。
  • 前腕の筋肉以外にも、背部の筋肉の緊張も緩める。
  • 鍼からは低周波のパルスを流す。
  • 炎症を起こしている「腱鞘」の部分には、微弱電流を使って炎症を鎮める。
  • 施術の頻度は週に一回のペースとする。
  • 鍼の長さは4センチの日本鍼を使用する。

 

第一回・・・

うつ伏せで、首、肩、肩甲骨周囲の硬くなっている筋肉に鍼治療。

 

右側を上にして横向きで、前腕の筋肉に鍼治療。

 

炎症を起こしている部分に微弱電流を流す。

 

第二回・・・

前回の施術で、筋肉の硬さが楽になった。

 

手首の痛みはまだ変化なし。

 

施術は前回同様。

 

第三回・・・

身体全体が軽くなった。

 

疲れも前に比べると楽である。

 

手首の痛みは多少楽になっている。痛み指数10→8。

 

施術は前回同様。

 

第四回・・・

身体はだいぶ楽になっている。

 

首、肩、肩甲骨周囲の筋肉のこりはだいぶ楽である。

 

手首の痛みは8→5に減っている。

 

第五回・・・

身体はかなり楽になっている。

 

手首の痛みは5→3に減っている。

 

施術は前回同様。

 

第六回・・・

身体はとても楽。

 

手首の痛みはだいぶ良くなっているが、仕事で使うと痛みはある。

 

施術は前回同様。

 

  • 一応、初期に比べると手首の痛みはだいぶ落ち着いているので、週に一回の治療ペースを終了する。
  • 仕事で手首を酷使するので、これからは悪化しないように予防的に来院されることを提案する。
  • 今現在は一か月に一回程で来院されていて「痛みは依然として残っているが、最初に比べると三分の一位に減っている」とのこと。

 

 

考察・・・

今回のケースは所謂「腱鞘炎」です。
ドケルバン病
そのなかでも「ドケルバン病」といって、手首の親指側の腱鞘炎になります。

 

このドケルバン病ですが、一般的には「手首の使いすぎ」「親指の使いすぎ」なんかが原因になるのですが、「出産期、更年期の女性」にもみられます。

 

このことから使いすぎ以外にも、女性ホルモンが関係しているとも言われるのです。

 

ドケルバン病は腱鞘炎なので簡単に説明すると、使いすぎによって腱鞘に炎症を引き起こして痛みが発症します。
腱鞘炎
特に短母指伸筋腱、長母指外転筋腱、そしてこの二本を覆う腱鞘が炎症を引き起こします。

 

今回のケースの方も仕事が中華料理屋で、調理時に鍋を扱うことから、使いすぎによって腱鞘炎を引き起こしたと思われます。

 

この腱鞘炎ですが、痛みを完全に治すのであれば「使わない」ことが重要です。

 

腱鞘炎は使いすぎで発症するので、使わなければ炎症も治まって痛みは発症しません。

 

しかし使わないということは現実的ではありません。

 

特に仕事で使っている場合は休むことがそもそも出来ません。

 

なので現実的には使いながらいかに痛みを抑えるかが焦点になっていきます。

 

病院では湿布、投薬、固定法等が一般的で、症状が酷い場合はステロイドの注射で炎症を抑える治療を行います。

 

それでも症状が良くならない場合は、外科的手術によって腱鞘の鞘の部分を広げます。

 

では鍼灸(当院)ではどのような施術を行うのか説明してみます。

 

まず関連する筋肉を鍼でしっかりと緩めます。

 

関連する筋肉とは、前腕にある筋肉です。
長母指外転筋 短母指伸筋
なかでも「短母指伸筋」「長母指外転筋」という筋肉はしっかりと緩めます。
背部筋肉
また前腕以外にも、背部の筋肉(首、肩、肩甲骨周囲)も鍼でしっかりと緩めます。

 

なぜこれらの筋肉を緩めるのかというと「腱(腱鞘)への負担(ストレス)を減らす」ためです。

 

要するに上記の筋肉が硬くなっている状態だと、筋肉が硬くなっている分、腱(腱鞘)に負荷がかかってしまいます。

 

そしてこの状態が続くと、腱(腱鞘)に炎症を引き起こしやすくなってしまうのです。

 

ですから鍼で上記の筋肉をしっかりと緩めれば、腱(腱鞘)への負担が減るので炎症を引き起こしにくくなるというわけです。

 

そして筋肉へのアプローチ以外にも、炎症を引き起こしている腱(腱鞘)の部分には微弱電流を流していきます。
微弱電流
微弱電流(マイクロカレント)は、炎症の抑制、組織の修復に優れた効果を発揮すると言われていています。

 

なので炎症を引き起こしている腱(腱鞘)に微弱電流を流すことによって、痛みを直接抑えていきます。

 

当院ではこれらを行うことによって個人差はありますが、ほとんどの方が症状の緩和をみています。

 

鍼灸治療は薬物のような副作用はありません。

 

ですので慢性の腱鞘炎でお悩みの方は、鍼灸治療もご検討ください。

 

症状の重症度や生活環境によって個人差がありますが、痛みを大幅に減らせることができると思います。

 

尚、病院の治療と併用しても何ら問題ございません。

 

西洋医学の良い部分、鍼灸治療の良い部分を上手く活用してください。


 

 

 

 

疾患症例集について・・・

臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。

 

これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。

 

尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。