突然「耳がつまる」「水が入った感じ」「低い声が聞き取りずらい」といった症状を訴えて発症する疾患です。
ほとんどの方に「耳閉感」が現れます。
進行すると徐々に聞こえが悪くなりますが、低音部のみが聞こえなくなるので会話は問題なくできる場合が多いです。
ですのでほとんどの方が症状がある程度進行してから心配になって医療機関を受診するようです。
では医療機関ではこの疾患をどのように診断するのでしょうか。
耳(聞こえ)の症状を訴えて病院に行くとほどんどの場合、「聴力検査」を行います。
この疾患の特徴ですが、低音部のみが障害されます。
これは低音障害の人の聴力検査表ですが、表を見れば一目瞭然です。
上記の表は低音難聴の人の結果です。
見ていただければ分かりますが、低音部の聴力(125~500Hz)のみが下がっています。中~高音部は正常です。
これが急性低音障害型感音難聴の特徴です。
まず、この疾患に罹患する人は20代~40代の女性が多いとされています。
原因は「不明」とされてはいるのですが、実際には「首肩こり」「ストレス」を抱えている人が圧倒的に多いようです。
また解剖学的には「蝸牛」の浮腫みが有力です。
蝸牛は内耳にあって聴覚を司る感覚器官です。
蝸牛には一定量の「リンパ液」が入っていて、音の振動を脳に伝える役割を担っています。
しかし何かしらの原因でリンパ液が増えすぎてしまうと、振動を脳に伝えずらくなってしまいます。
この状態になると、特に低音部の音が認識されずらくなると言われています。
急性低音障害型感音難聴になると、様々な症状を発症します。具体的には、
もちろんすべての症状を発症するわけではありませんが、人によっては複数の症状を訴える場合も多いです。
突発性難聴とは、突然発症する感音性の難聴です。
発症した場合は早期に治療しないと、聴力を失ってしまう怖い疾患です。
突発性難聴は「難聴」という症状なので、一見「低音難聴」と同じように思われますが、全く別の疾患です。
突発性難聴と急性低音障害型感音難聴の違いは症状にも現れますが、聴力検査をすればはっきりと違いがわかります。
一般的に突発性難聴では以下のような波形になります。
急性低音障害型感音難聴の場合は、低音部のみ障害されますが、突発性難聴では低音~高音のすべてが障害を受けます。
尚、突発性難聴については発症後、医療機関での早期治療が鉄則です。
時間が経ってしまうと聴力を失ってしまい戻りません。
突発性難聴が鍼灸の適応なのか、鍼灸院によって考えは違うのですが、私の意見では難しいと言わざるを得ません。
発症後、遅くても二週間以内に病院の治療と併用して鍼灸を受けるのはアリだと思います。
急性低音障害型感音難聴は症状の程度によりますが、比較的軽度であれば鍼灸治療が効果的です。
もちろん個人差はあるのですが、初期段階で施術を開始すれば改善が期待できます。
まず患者様が抱えている症状が、急性低音障害型感音難聴なのか判断します。
ほとんどの方が病院で聴力検査をしていると思います。
病院によって違うのですが、聴力検査の結果をコピーして渡してくれる場合は、当院に結果表を持参してもらいます。
聴力検査表を見れば、この症状が急性低音障害型感音難聴なのか分かります。
また検査表が無い場合は、患者様から具体的な症状をお聞きすることによっておおよその判断ができます。
次に身体診察を行います。
急性低音障害型感音難聴の人に対して、私が主に診る部分は、首の筋肉、頭・顎の筋肉、背中の筋肉です。
まず首の筋肉ですが、主には「胸鎖乳突筋」「斜角筋」という筋肉です。
この筋肉が緊張している場合、内耳の血流が悪くなっていることが多いです。
急性低音障害型感音難聴の原因のひとつとして、内耳の血行障害が強いと考えられますが、首の筋肉が緊張して硬くなっていると内耳に入り込んでいる栄養血管が細くなって血流が悪くなります。
次に頭・顎の筋肉ですが、「側頭筋」「咬筋」といって噛みしめるときに作用する筋肉の緊張を診ます。
これは寝ている時に、歯ぎしり、食いしばりをしている人は、側頭筋、咬筋が硬くなって内耳の血流が悪くなりやすいのでチェックします。
最後に背中ですが「脊柱起立筋」という交感神経に関連が深い筋肉です。
急性低音障害型感音難聴を発症する人のほとんどは「交感神経」が緊張していることが多く、したがって交感神経が密集している脊柱起立筋の緊張を確認します。
鍼治療を行っていきます。
先ほど説明した、筋肉の緊張を鍼でしっかりと緩めていきます。
病院ではステロイド、利尿剤、ビタミン剤等が主な治療法になります。
特に利尿剤は、低音難聴の場合は頻繁に処方されるようです。
病院によっては漢方薬を処方される場合もあります。
薬物療法に関しては、正直「良くなった」と言う人、「変わらない」と言う人、はっきりと分かれるようです。
この疾患は、正式な治療法は確立されていないので、バラツキがあるのは仕方ないと思います。
その分、患者様は悩むので、最終的に鍼灸院に来院されるケースが多いのですが。
低音部のみが聞こえなくなります。なので高音部が聞こえなくなっているのであれば他の疾患を疑います。
症状の程度で個人差があります。軽度、早期であれば短期間の施術で改善すると思います。
別の疾患です。突発性難聴は低音難聴に比べると、完治や改善が難しい疾患になります。
急性低音障害型感音難聴は別名「ストレス難聴」とも言われ、ストレスが原因になっていることがほとんどです。ですので良くなってもストレスの多い生活を続けていると再発するケースが多々あります。
聴力検査表があれば、お持ちください。
まったく問題ありません。