激痛後の心因性疼痛について|さいたま市西区|彩玉鍼灸院|

激痛後の心因性疼痛について|さいたま市西区|彩玉鍼灸院|

ぎっくり腰、神経痛等、非常に痛い思いをした後に精神的に参ってしまい本来の痛みとは関係ない痛みを発症する方がいます。
これを一般的に「心因性疼痛」といいます。
詳しく解説していきます。

はじめに・・・

ぎっくり腰、神経痛等、比較的激しい痛みを経験した場合、その痛み自体がトラウマになってしまう人がいます。

 

そしてトラウマになってしまうと、その後の生活にかなりの支障を及ぼしてしまいます。

 

要するにこのような状態を「心因性の●●」と言ったりします。

 

心因性なので肉体面では問題がないのですが、精神面での障害がでてくるわけです。

 

当院のような鍼灸院では、心因性の「疼痛」といって、要するに「痛み」の症状を訴えて来院されるケースが多いです。

 

このことを「心因性疼痛」と言ったりします。

 

 

具体的な症状は・・・

心因性の痛みの場合は、器質的な痛みに比べると明確に違いがあります。

 

具体的には・・・

  • 痛む場所が移動する
  • 日によって痛みに明確な波がある
  • 寝ている(脳が寝る)と痛みを感じない
  • 痛みに加え「だるい」「重い」といった症状で苦しむことが多い
  • 何かに集中していると、痛みを感じないことが多い
  • 食欲が落ちる
  • 眠りが浅くなる
  • 漠然とした「疲れ」がある

要するに「自律神経失調症」のような状態になります。

 

また人によっては悪化すると「うつ病」になってしまう場合もあります。

 

 

どのような状態になっているのでしょうか・・・

では心因性疼痛になってしまった場合、具体的には体内でどのような状態になっているのでしょうか。

 

まずぎっくり腰、神経痛等、要するに普段では経験したことがないような激しい痛みを経験したとします。

 

激しい痛みなので、肉体面では激しいストレスを受けるのですが、同時に精神面でも激しいストレスを受けます。
癖
そして激しい痛みが長期で続く場合、脳が恐怖から「痛みを癖として学習」してしまいます。

 

要するに脳が敏感な状態になってしまい、普段は気にならないような感覚でも「激しく痛い」といった誤認識を発してしまうのです。

 

例えば腰の痛みを訴えたとして、普段はそれほどの痛みではない(数値で表すと1とか2ぐらい)のに脳が敏感になってしまうと5とか6の痛みに感じてしまいます。

 

そしてそのような状態が三か月異常も続くと俗にいう「慢性痛」の状態になります。
側坐核
近年の研究により、この状態になってしまうと脳にある「側坐核」という部分が多大な影響をうけていることがわかっています。

 

側坐核は脳に痛みの情報が入ってくると「ドーパミン」という物資を放出します。

 

ドーパミンは痛みを緩和する作用が強い物質です。

 

しかし精神的・肉体的な過度のストレスを長期間受けた場合、側坐核の機能が低下してしまいドーパミンの放出が低下してしまいます。

 

このような状態になると、痛みを強く感じるようになってしまうのです。

 

心因性疼痛とは、まさに上記のような状態を意味すると思われます。

 

 

対処法について・・・

では実際に心因性の疼痛を発症してしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

対処法としてはいくつかあるのですが、実際には個人差があって一概に「これだ」というのもは無いと思います。

 

つまり確定した治療法はありません。

 

代表的な治療としては以下のものがあります。

  • 心理療法・・・
  • 要するに「カウンセリング」です。

     

    カウンセリングを行うことによって、患者さんの「不安」「ストレス」「トラウマ」等を軽減していきます。

     

    患者さん自身の考え(固定観念)を変えることによって脳の興奮、ストレスを下げればおのずと痛みが軽減する場合があります。

     

  • 薬物療法・・・
  • 薬を使って脳の機能を正常に戻す方法です。

     

    使用する薬は主に「抗うつ剤」等の向精神薬になります。

     

    薬物なので効果は高くなりますが、その分「副作用」「薬に対してのハードル」が高くなります。

     

    また「漢方薬」も体質が合えば効果的と思われます。

     

  • 民間療法・・・
  • 医療機関以外の施術法になります。

     

    施術法は様々あります。

     

    体、精神を整えるという意味では「整体」「リラクゼーション」等が挙げられます。

     

    だたしこれらは確固たる「エビデンス」がまだ無いので施術者の技術、相性等で差があります。

以上のように心因性疼痛の対処法は実に様々です。

 

どの治療、施術が合っているのかは実際に受けてみないとわからない部分も多く、それだけ心因性の疾患は難しいと言わざるを得ません。

 

 

心因性疼痛に対しての当院での向き合い方・・・

当院のような鍼灸院にも心因性疼痛と思われる方が一定数来院されています。

 

いずれも肉体的・精神的なストレスが引き金になって症状を発症したと思われます。

 

では当院では、心因性疼痛に対してどのように対処しているのか簡単に説明してみます。

 

  • 鍼灸治療で脳内の機能を改善します・・・
  • 鍼灸治療を行うことによって、脳の機能を正常に戻します。

     

    先ほど説明したように、心因性疼痛を発症している人は脳の機能が狂ってしまいホルモンバランスが異常になっています。

     

    近年の研究によって体に鍼灸を行うと、鍼灸の刺激によって脳の機能が正常に戻ることがわかってきました。

     

    要するに鍼灸治療は「脳の機能を正常に戻す作用がある」と推察されるのです。

     

  • カウンセリングを行って精神的な不安、緊張を取り除きます・・・
  • 当院では比較的患者さんの施術に時間をかけるので、鍼灸治療をした後に数分ですがカウンセリングを行うことが可能です。

     

    カウンセリングといっても本格的なものではありませんが、ある程度のアドバイスを行います。

     

    患者さんの悩みを聞いて、わかる範囲でアドバイスを行っていると徐々にではありますが不安、緊張が無くなっていくことがあります。

     

    不安や緊張が取れてくると、脳の緊張、不安が薄くなっていくので、結果として脳のホルモンバランスが正常になっていきます。

以上のように当院では「鍼灸治療」「軽度のカウンセリング」を組み合わせて施術を行っています。

 

 

最後に・・・

心因性疼痛で悩まれている方は多いと思います。

 

いずれも過度な肉体的・精神的ストレスが原因によって発症する場合がほとんどです。

 

心因性の厄介なところは、治療効果に個人差があるということ、改善するまでに時間がかかるということです。

 

例えば腰の痛みで悩んでいるとします。

 

単純に腰の筋肉が硬くなって腰痛を発症している場合は、数回の施術でほとんどの場合は改善していきます。

 

しかし心因性の場合は、数回の施術で改善することは稀です。
脳(機能)
これは脳の機能が正常に戻るまでは時間がかかるということです。

 

ほとんどの場合は、うまくいっても月単位での施術が必要になっていきます。

 

やはり一度バランスを崩してしまった脳の機能や、患者さん自身の考え方を変えていくのは時間がかかりますし難しいのです。

 

特に神経質な性格、完璧主義のタイプに属する人は大変な場合がほとんどです。

 

当院では、鍼灸治療をメインとして時間があれば患者さんへのアドバイスを行っていますが、改善には個人差があります。

 

重度の場合は心療内科等での薬物治療を勧める場合もあります。

 

いずれにしても心因性の疼痛になってしまった場合は、あせらずに生活環境、自分の考え方を見直してみましょう。

 

鍼灸治療で効果がある場合は、しばらくは定期的に鍼灸を受けてみてください。


 

 

 

 

症例ブログについて・・・

様々な疾患について、私なりの考えを書き綴っております。

 

なるべく簡素で分かりやすくお伝えできればなと思っております。

 

このサイトを見て、医療に関する一般の方への理解が深まれば幸いです。