当院に「股関節が痛いんです」と言って来院される方はとても多いです。
股関節という部位はほとんどの方は想像出来ると思います。
簡単に説明すると、足の付け根あたりが股関節といったところでしょうか。
股関節の痛みを訴える方は、年齢も様々、性別も男女同じ割合です。
二足歩行で生活する人間にとって股関節の痛みは腰痛と同じく避けることはできない症状なのかもしれません。
一概に股関節が痛いといっても人によって痛む場所は様々です。
一般的に股関節疾患の方はどこの部分に痛みを感じやすいのでしょうか、以下に説明します。
まず足の付け根に関しては、股関節の部分なので痛みがでるのは必須です。
太ももの前、外側、臀部、腰に関しては「関連痛」で痛む場合が多いです。
関連痛とは、原因となる部位に隣接している部位に発生する痛みのことです。
股関節周囲の筋肉の解剖図を見るとわかると思いますが、腰、臀部、太ももの筋肉は股関節と密接に入り組んでいます。
股関節痛の人は本能的に股関節を庇うので、関連する筋肉にストレスがかかり、二次的な痛みを引き起こしやすいのです。
一口に股関節の痛みといっても原因は様々です。
ここでは代表的な原因を説明します。
スポーツ、仕事で股関節を使いすぎると関節周囲に炎症を引き起こしたり、股関節周囲の筋肉が硬くなってしまいます。
スポーツでは主に「ゴルフ」「テニス」等の腰を捻じる動作が多い場合、左右どちらかの股関節が軸になるので負担がかかります。
仕事では、立ちっぱなしの方に多いです。
姿勢が悪い人は重心のかけ方が悪いので、バランスが崩れます。
この場合人によっては過度の重心が股関節にかかることがあり、結果として股関節の痛みを引き起こします。
年をとると筋肉が減っていくので、股関節そのものにストレスがかかるようになります。
このような状態になると、関節の軟骨がすり減ってしまい関節部に炎症が起きて痛みを発症します。
加齢による股関節の痛みは、筋肉量が少ない女性に多いです。
病院等の医療機関では、以下の治療が主になるようです。
検査には、レントゲン、MRI、CTがあります。
これらの検査では、骨の変形、骨折、腫瘍、壊死等の確認を行います。
痛みを改善するため、非ステロイド消炎鎮痛剤が処方されます。
患部を温めたり、低周波、高周波、超音波等を使用して痛みを和らげます。
主に理学療法士が行う施術です。筋肉を緩めたり、筋肉運動で筋肉を鍛えたりします。
重度の場合は、人工関節に置き換える手術を行います。
股関節の痛みが辛い場合は、まずは病院でしっかりと検査してください。
腫瘍や骨頭壊死がある場合は、医療機関の治療が最優先です。
股関節の痛みを訴える人に対して、はり治療ではどのように対処しているのでしょうか。
鍼灸院によって施術法は様々ですが、当院の考えや施術法を紹介します。
まず当院で効果が期待できる股関節痛は筋肉が原因の症状です。
つまり股関節周囲の筋肉が硬くなったり、炎症を引き起こしている場合です。
当院ではこのような筋肉が原因の場合は、股関節周囲の深層筋にしっかりと鍼をしていきます。
また股関節以外にも、関連がある腰、臀部、大腿の筋肉にも鍼をします。
使用する鍼ですが、股関節周囲、腰、臀部、大腿は分厚い筋肉なので、必然的に鍼も長さがある鍼を使用して深い部分に届くまで刺鍼します。
これは股関節痛を発症する人は、関節の深部の筋肉が硬くなっていることがほとんどなので、深部に届くような長さの鍼を使用するということです。
では骨の変形が原因の痛みには鍼は効果が無いのでしょうか。
経験から言えば、痛みをある程度改善することはできると思います。
まず鍼で骨の変形は治らないので、骨の変形が原因の場合は一時的に痛みを抑えることしかできません。
施術後は痛みが楽になっても数日で痛みが戻ってしまうことが多いです。
ただ鍼治療以外の治療法でも、対処療法であれば一時的な痛みの改善しかできないのですが。
また変形が激しく対処療法では難しい場合は、主治医と相談して手術を検討した方が良い場合もあります。
以上のことから、当院では筋肉が原因の股関節の痛みに対しては、数回の鍼治療でほとんどの方が改善すると思います。
ただ筋肉が少なくなってしまった高齢者に関しては、施術の回数は増えますし、改善には個人差があります。
まずは病院で検査をしてください。その痛みの原因が何であるか確かめるためです。
腫瘍や骨の異常が無い場合は筋肉が原因のことが多いです。この場合は鍼治療で改善する確率は高いです。
圧倒的に多い人は「ゴルフ」をしている人です。ゴルフは軸足になる側の股関節が疲労しやすく痛みを起こしやすいからです。
あとは仕事で立ちっぱなしの人です。長時間同じ姿勢で立っていると左右どちらかに重心をかけるので、重心をかけている股関節周囲にストレスがかかり痛みを起こしやすくなります。
症状の度合いによって違いはありますが、基本は深めに鍼をします。これは股関節痛の人は股関節周囲の深層筋が硬くなっていることがほどんどだからです。
変形が原因でも手術するまでもない場合は、鍼治療で痛みを和らげるという考えもあります。定期的に鍼治療をしていると痛みは多少楽になるので、他の療法も併用して改善を目指せばよいと思います。