三か月程前から、身体の緊張感が激しく力が抜けない。
常に身体に力が入っていて、リラックスが出来ない。
仕事中はもちろん緊張感があって良いのだが、仕事以外の時間になっても緊張感が抜けず、最近では睡眠時になっても緊張感が抜けない。
なので徐々に睡眠も浅くなっていて、身体の疲れが抜けない状態が続いている。
とにかく身体が怠く、筋肉の緊張も酷くなっていて、首、肩をはじめ手足の筋肉も硬くなっている。
また30代の頃から目の疲れが酷く、病院では「眼精疲労」と診断されている。
仕事がパソコン業務なので、仕事中はほとんど目を酷使している。
また仕事以外でもスマホをよく使用していて、寝る直前までユーチューブを閲覧していることが多い。
最近では目の疲れが更に酷くなっていて、目がショボショボしたり、焦点が合わなくなったり、目の奥に痛みを感じることもある。
今回の症状に対しては、一応病院(内科)で血液検査等をしたがこれといって悪いところは発見されなかった。
主治医からは心療内科を勧められたが抵抗があって受診はしていない。
ネットで自分の症状を検索すると、整体、鍼灸等の療法がヒットして自分なりに吟味して鍼灸治療が良いと思うようになった。
さいたま市で鍼灸院を絞ったところ、当院のホームページの内容が自分の症状と合致していたので来院された。
症状に関して詳しく聞くと、身体の怠さは徐々に悪化していて、とにかく身体全体が重い・怠い感覚である。
また常に筋肉が過緊張を引き起こしている感じで、筋肉のコリが酷く痛みを引き起こしている。
目の疲れを伺うと、40歳を過ぎた頃から急激に視力が低下した、細かい文字が読みずらくなった。
仕事はほとんどがパソコン業務で、それ以外ではスマホも長時間見ていることが多い。
特に動画の閲覧が多く、暇な時間があるとユーチューブばかり見ている。
精神的な部分では、多少の気分の落ち込みはあるが、朝起きれない、不安感、意欲の消失等は無い。
身体診察では、筋肉の緊張が激しい。
背中、手足の筋肉も過緊張を引き起こしている。
脈診をすると「緊」「数」である。
30代のころから眼精疲労と診断されている。
眼精疲労の症状は進行している。
仕事、プライベートで目を酷使している。
筋肉の過緊張が認められる。
脈診では明らかに交感神経の過緊張が認められる。
こららを加味すると「眼精疲労が原因の自律神経失調症」と推察される。
仰向けで、目の周り、手足の筋肉・ツボに鍼治療。
うつ伏せで、首、肩、背中の筋肉に鍼治療。
首~背中の筋肉に温熱マッサージ。
前回の施術で身体がだいぶ軽くなった感じ。
施術は前回同様。
目の疲れが多少楽になっている。
睡眠も少し深く眠れるようになった。
施術は前回同様。
身体のだるさはほとんど無い。
目に関しては、すっきりと物が見えるようになった。
首肩の張りも楽になっている。
施術は前回同様。
身体のだるさは無い。
筋肉の硬さもだいぶ緩くなっている。
目の疲れも楽になっている。
睡眠もしっかりと深く眠れるようになった。
施術は前回同様。
今回のケースは「眼精疲労」が悪化してしまい、その結果として「自律神経症状」を発症してしまったと思われます。
眼精疲労とは要するに「目の疲れ」なのですが、一般的に言う『眼疲労」とは違い、様々な症状を併発します。
例えば「頭痛」であったり「首肩こり」であったりと多岐にわたるのですが、そのひとつに「自律神経疾患」があります。
ではなぜ眼精疲労が悪化すると自律神経疾患を発症するのでしょうか。
これは眼精疲労の原因である「毛様体筋」が関係します。
毛様体筋は眼のピント調節を行っている筋肉です。
パソコン、スマホを長時間行っていると、この毛様体筋が疲弊してしまいます。
このような状態になると眼の疲れが悪化するのですが、毛様体筋は自律神経が動かしているので「毛様体筋の疲れ=自律神経の疲れ」になります。
ですので眼精疲労の症状の一つとして「自律神経失調症」を発症する場合があるのです。
そしてこの場合の自律神経症状として多いものに「体の過緊張」「疲れ・だるさ」「不眠」等があります。
今回のケースの方も、体の疲れが抜けない、体の緊張が取れない等の症状がありました。
これらは典型的な自律神経症状です。
特に自律神経の交感神経が過緊張を引き起こしてしまい、心身共に興奮状態が取れなくなってしまいます。
この状態になると就寝時になってもリラックスしないので睡眠が浅くなってしまいます。
今回のケースの方はパソコン業務でずっと目を酷使しているにも関わらず、プライベートでもスマートフォンを寝る直前まで使用していたようなので眼精疲労が急激に悪化したと思います。
このような方は近年爆発的に増えていて、そのほとんどが40歳以上で普段から目を酷使している人がほとんどです。
若い時は多少目を酷使してもまだ問題無い場合も多いのですが、40歳を過ぎると「老眼」が入ってくるので毛様体筋の疲労に拍車がかかります。
なのでこのような状態になった方にアドバイスするのが「プライベートではなるべくスマホを使わないこと」「せめて寝る二時間前はスマホを見ないこと」です。
仕事でパソコンをする方に関しては、仕事なので仕方ないのですが、せめて仕事以外では目を酷使しないようにしてください。
スマホを控えるだけで症状はかなり落ち着くはずです。
尚、当院ではこのような症状に対しては「眼の疲れ(毛様体筋の疲れ)を改善する」「筋肉の過緊張を緩める」「交感神経の緊張を下げる」ことを主に行っていきます。
まず眼の疲れに関しては、眼の周りの筋肉、首の筋肉を緩めることによって眼の血流を改善して「毛様体筋」の疲労を改善していきます。
また全身の硬くなっている筋肉を鍼でしっかりと緩めることによって体の緊張を緩和していきます。
それに加えて、交感神経を下げるポイントに鍼や温灸を行って自律神経のバランスを整えていきます。
これらを行うことにより個人差はありますが、ほとんどの方が症状の改善をみています。
もちろんご自分でも生活環境の改善は必須です。
なるべく目に負担のかからない生活を送ってください。
いくら良い施術を行っても、眼を酷使する生活を送っていると改善率はグッと悪くなりますからね。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。