10日程前に洗顔をしていると、左顔に違和感を感じた。
その後、急激に左顔が動かなくなってしまった。
急いで病院に行き検査をすると「顔面神経麻痺」と診断される。
また血液検査では帯状疱疹ウイルスが検出されたので、顔面麻痺のなかでも「ハント症候群」と診断を受けた。
顔が動かない症状に加え、左耳の痛みがあり、聴力検査を受けると聴力が落ちていた。
また食事をしても味がほとんど感じなくなっていた。
医師からは入院を勧められて、一週間程入院することになった。
入院中はステロイドの点滴に加え、抗ウイルス薬も投与された。
一週間の入院で聴力は回復し、味覚もほぼ正常に戻った。
しかし顔面の麻痺はあまり改善せず、未だにほぼ動かすことができない。
病院に関しては、通院に切り替えてステロイドの内服を処方されて服用している状態。
因みに、顔面麻痺を評価する「柳原法(40点満点)」は今現在で6点だった。
心配になり病院以外で治療法を探したところ「鍼灸治療が有効」と載っていて興味が湧いた。
「顔面麻痺、鍼灸、埼玉県」で検索すると当院を見つけて来院された。
左側の額、目、口はほぼ動かない。
目が閉じないので目が乾いてしまい、目薬をさしている。
食事も大変で、麺はすすれない、水分はこぼれてしまう、口に物が残ってしまう。
左顔全体が張っているような感覚が辛い。
発症する数日前に風邪を引いていたが、無理して仕事をしてしまった。
首を触診すると、特に左耳の下周囲の筋肉が異常に硬くなっている。
顔面麻痺に加え、聴力低下、帯状疱疹ウイルス検出があった。
これを踏まえるとハント症候群と推察される。
伏臥位で、首、肩、背部の筋肉に鍼治療。
仰臥位で、左顔面部に鍼治療。
温灸器を左顔面部にあてる。
若干だが額にしわを作れるようになった。
その他は変化なし。
施術は前回同様。
額のしわはだいぶ作れるようになった。
目、口も若干だが動くようになっている。
施術は前回同様。
病院での検査(柳原法、6点→14点)になった。
職場に復帰したので施術の間隔を週に二回にした。
額のしわはだいぶ作れるようになった。
目も多少閉じれるようになっている。
口は動くが細かい動きはできない。
施術は前回同様。
額のしわはかなり作れる。
目もだいぶ閉じれるようになっている。
口は大まかな動きはできているが、食事はぎこちない。
施術は前回同様。
病院の検査(柳原法14点→20点)。
額の動きはかなり良い。
目もだいぶ力が入るようになり、ある程度しっかりと閉じれるようになった。
口は細かい動きは難しいが、食事は上手くできるようになった。
施術は前回同様。
病院での検査(柳原法20点→24点)。
今回の症例は顔面神経麻痺のなかでも難治に含まれる「ハント症候群」でした。
同じ顔面神経麻痺でも「ベル麻痺」に比べるとハント症候群は改善率が下がります。
これはハント症候群の原因が「水痘、帯状疱疹ウイルス」だからです。
これらのウイルスが活性化してしまうと、様々なところに不具合を引き起こします。
ハント症候群でいえば、顔面の麻痺に加え、聴力が障害される可能性がとても高くなります。
病院での治療はステロイドを中心に、抗ウイルス薬の投与も行われます。
ハント症候群の厄介なところは改善率が悪いということです。
もちろん個人差があるので完治する場合もあるのですが、100%治らないケースも多々あります。
ですのでハント症候群で当院に来院された場合、「完治ではなく改善を目指しましょう」と伝えることが多いです。
しかし発症直後で年齢も若く、仕事を休んでしっかりと治療に専念すれば完治する可能性ももちろんあります。
因みに当院に来院されていたハント症候群の方達に関しては、早期に施術を行えばほとんどの方が改善はします。
また発症して時間が経ってしまった場合(約三か月以内)でも、ある程度の改善は期待できると思います。
要はどこまで改善するかです。ほとんどの方が、見た目で麻痺しているとわからないくらいには改善します。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。