歩くと15分程で、右のお尻~太ももの裏、更にはスネまでしびれ、痛みが走る。
立ち止まってしばらくすると、また歩くことはできるが15分程でまた痛みがでる。
病院のMRIで「腰部脊柱管狭窄症」と診断されている。
病院では、「手術するほどではないので様子を見ましょう」と言われ、筋弛緩薬、鎮痛薬、理学療法を受けている。
何とか15分以上、痛み無く歩くことは出来ないかといろいろと調べて「鍼治療」が良いのではないかと思いはじめる。
ネットで検索すると、当院のホームページを見つけ興味が湧いて試しに来院された。
歩行は一般的な速度で、15分が限界である。
腰を曲げて休むと痛みは無くなる。
仕事はリタイヤして、家にいることがほとんどである。
触診では、腰周囲、右臀部の緊張が激しい。
MRIで腰部脊柱管狭窄症と診断されている。
歩行時の痛みは典型的な「間欠性跛行」である。
これらを踏まえると、腰部脊柱管狭窄症が原因の間欠性跛行であると推察される。
伏臥位で、腰を中心に鍼治療。
右上の側臥位で、臀部の陰部神経に届くように鍼治療。
同時に太ももの裏、スネの筋肉にも鍼治療。
あまり変化は無し。
施術は前回同様。
歩く距離は、30分に伸びた。
臀部の痛みも無くなっている。
施術は前回同様。
歩く距離は30分は大丈夫。
施術は前回同様。
脊柱管狭窄症は、靭帯が肥厚したり骨が変形したりして神経を圧迫すると発症する疾患です。
最近では糖尿病、喫煙、ストレス等も指摘されています。
この疾患はどちらかというと狭窄自体が問題になることはあまり無く、足のしびれで苦しむ方が圧倒的に多いです。
足のしびれは「間欠性跛行」と言い、歩いていると足がしびれて歩行が出来なくなってしまう症状です。
歩く距離は個人差がありますが、酷い場合は5分も歩くとしびれを発症します。
またこの症状の特徴は、腰を前屈して休むと再び歩行が出来るということです。
ですので当院では、狭窄症を改善するのではなく間欠性跛行を改善することを目的としています。
※そもそも狭窄症は器質的な疾患なので、鍼灸では治りません。
ここでは間欠性跛行の改善として、歩行距離をどこまで伸ばせるかが施術ポイントになります。
この場合、特に施術のポイントになるのは仙骨から骨盤内に伸びている「陰部神経」です。
研究によって陰部神経を鍼で刺激すると、間欠性跛行からの神経の痛みを大幅に改善できるという論文があります。
この論文によると、間欠性跛行からの神経痛に悩む方達に陰部神経刺鍼(通電)をしたところ、ほとんどにおいて神経痛の緩和に成功したようです。
これを踏まえて当院でも、間欠性跛行で苦しむ方達に陰部神経刺鍼を行っています。
ただ陰部神経は深い部分に存在するので、使用する鍼も長い鍼を使用します。
また施術の回数も梨状筋症候群等と違い、長い回数がかかります。
それだけ脊柱管狭窄症という疾患は厄介だということです。
しかし個人差はありますが、しっかりと鍼治療を行うことによって、10分しか歩行出来なかった人が20分、30分と歩行時間を伸ばすことが出来るようになります。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。