二か月程前から、目の奥が痛い。
痛みは特に仕事中に発症することが多い。
痛みの性状は「ズキッ」とした痛みが一瞬のこともあれば数分続くこともある。
最初は気にならない程だったが、最近は痛みが明らかに悪化している。
心配になって、眼科で検査をしてもらったが目の異常は発見されなかった。
脳外科を紹介されて、脳のMRIを撮ったが異常は無かった。
別の眼科に行って再度検査をしたが、やはり異常は無く「眼精疲労」と診断された。
目薬を処方されて使っているが効果は感じられない。
眼精疲労でネットで検索していると、鍼灸治療が効果的と載っていて興味が出た。
家の近くで検索していると当院のホームページを見つけ、眼精疲労のことを詳しく説明していたので来院された。
仕事中に症状を発症しやすいことから、仕事内容をお聞きすると「パソコンでの入力作業」とのこと。
また目の奥の痛み以外に関連症状をお聞きすると、首のこりは慢性的、後頭部の痛みも最近酷い。
触診を行うと、首の筋肉の過緊張が酷い。
また脊柱起立筋の緊張もある。
目の病気、脳の病気は医療機関で発見されていない。
眼科では眼精疲労と診断されている。
首のこり、後頭部の痛みがある。
これらを加味すると、大後頭三叉神経症候群と推察される。
仰臥位で、三叉神経第一枝領域に鍼治療。
伏臥位で、後頭部、首、肩、脊柱起立筋に鍼治療。
後頭部、首に温灸器をかける。
一回目の施術で、首のこりは楽になった。
目の奥の痛みもあまり気になっていない。
施術は前回同様。
首こりは楽。
後頭部の痛みも無い。
目の奥の痛みも無くなっている。
施術は前回同様。
首、後頭部、目の奥の痛みは今のことろ無い。
施術は前回同様。
今回の症例は「大後頭三叉神経症候群」で間違いないと思います。
大後頭三叉神経症候群という病名はあまり聞いたことが無いと思います。
この疾患を簡単に説明しますと、首肩こりが悪化すると後頭部にある神経(後頭神経)が興奮します。
後頭神経が興奮すると、頭の中で近くに伸びている三叉神経が影響を受けて興奮してしまうことがあります。
三叉神経は三本に枝分かれしていますが、そのなかの第一枝が主に興奮します。
三叉神経第一枝は目の奥(眼神経)を走っているので、結果的に「目の奥が痛い」と感じるわけです。
目の奥が痛いので眼科を受診する方がほとんどですが、要するに三叉神経痛なので、眼球自体は何ら問題ありません。
ですので眼科で検査をしても異常なしと診断されるわけです。
当院ではこの疾患に対して、首のこりを緩める、後頭神経の興奮を抑えることを重要視しています。
そもそも首のこりを放置して悪化すると後頭神経~三叉神経に痛みが波及するので、大元の首のこりを緩めるのが第一条件です。
首のこりを鍼でしっかりと緩めれば、神経の興奮を抑えることができます。
神経が興奮さえしなければ、この疾患で苦しむことは無くなります。
ただこの疾患に罹患する方のほとんどは「目を酷使する」仕事をしている場合がほとんどです。
要するに今の仕事を続けている限り、再発率は高くなる傾向にあります。
ですので鍼治療して症状が改善しても、定期的の施術は重要です。
来院の目安は「首がこりはじめたら」です。
首のこりの段階でしっかりと施術していれば、後頭神経痛や三叉神経痛まで症状が悪化することはまずありませんよ。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。