二か月程前から、首を曲げると右の腕にしびれを感じる。
特に「うがい」等、首を上に曲げると腕にジーンと痛みが走る。
病院で首のMRIを撮ると「首の骨が詰まっている」と診断された。
痛み止めを処方されて服用している。また病院に定期的に通院して牽引を受けている。
その他の治療を模索してネットで検索すると、鍼灸治療が載っていて興味がでた。
鍼灸院で絞って検索すると職場の近くに当院のホームページが載っていて、自分の症状が詳しく載っていたので来院された。
詳しくお話を伺うと、首の痛み(こり)は慢性的にある。
仕事は営業で長時間車に乗ることが多い。
比較的重い物を持つことも多く、車から荷物を積み下ろししている。
腕のしびれは、首を曲げないと問題ない。
しびれは激痛まではいかず、何となくしびれ感がある程度。
しびれの範囲は肘の辺りまでで、指先がしびれることはない。
触診すると、首の筋肉は鉄板のように硬い。
しびれの再現は、首の上下でしびれを発症する。
首の上下の動きで腕のしびれを発症している。
病院で頸椎の詰まりを診断されている。
これらを加味すると、頚椎症性神経根症と推察される。
伏臥位で、首を中心に肩、肩甲骨周囲の筋肉に鍼治療、同時に頸椎椎間関節部に鍼治療(頸椎椎間関節部の鍼からは微弱電流を流す)。
伏臥位で、首の筋肉に温灸器をあてる。
右上の側臥位で、首~腕の筋肉に鍼治療。
首の痛み、こりは少し楽になる(痛み指数10→8)
腕のしびれはまだ変化なし。
施術は前回同様。
首の痛み、こりはだいぶ楽になる(痛み指数8→4)
腕のしびれは変化なし。
施術は前回同様。
首の痛み、こりはほぼ無くなる(痛み指数4→1)
腕のしびれは少しましになっている。
施術は前回同様。
首の痛み、こりは無い。
腕のしびれはだいぶ楽になってきた。
施術は前回同様。
首の痛み、こりは無い。
腕のしびれもほとんど気にならない。
施術は前回同様。
症状はほぼ無い。
首を曲げても腕のしびれは無くなっている。
施術は前回同様。
首を上下に曲げたときに腕にしびれを感じるのは、頸椎(首の骨)に問題があるからです。
今回のケースは頸椎の関節が詰まっていると診断されています。
これはどうゆうことかと言うと、関節を繋ぐ椎間板が薄くなっているということです。
この状態になると人によっては関節に骨棘が出来たり、関節同士が擦れてしまい炎症を引き起こす場合もあります。
そしてこの状態で首を曲げると椎間から伸びている神経を圧迫するのです。
これが頚椎症性神経根症になります。
この疾患は重度のヘルニアとはちょっと違い、椎間板自体が飛び出ているわけではありません。
なので症状も重度なヘルニアに比べると軽度で、治療の改善率も高くなります。
頚椎症性神経根症になる原因は様々ですが、加齢、首への負担等があります。
今回の方は、加齢に加え、車の運転、荷物の出し入れ等の生活環境が原因になっていると思います。
当院では頚椎症性神経根症が疑われる場合には、摩耗した関節部に鍼をします。
関節部に鍼をすることによって、関節部の炎症を抑えたいからです。
因みに当院では炎症が疑われる部分には、鍼から微弱電流を流します。
微弱電流は炎症を抑える作用があるからです。
また関節部以外にも、周囲の筋肉に鍼や温灸を加えて筋肉の緊張を緩めていきます。
これらを行うことにより、個人差はあるのですが着実に痛み、しびれを改善することができます。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。