二年前から、左の臀部が痛くなる。
特に仕事中に痛みが酷い。
痛みは徐々に悪化していき、心配になって病院でレントゲン、MRIまで撮ったが、「腰椎に多少の詰まりがある」と診断された。
痛み止めを処方されて様子をみることに。
その後、整体に行ったり接骨院に通ったりしていたが、一か月程前から左の臀部~太ももの裏に激しい痛みを感じるようになる。
ネットでいろいろと調べてみると、「坐骨神経痛」ではないかと思うようになった。
坐骨神経痛、治療で検索をすると「鍼灸」がたくさんヒットした。
なので鍼灸院で検索すると、自分の職場の近くで当院を見つけて、坐骨神経痛のことも詳しく載っていたので興味が出て来院された。
痛みの性状を詳しくお聞きすると、まず左の臀部が痛みだして、その次に太ももの裏に痛みが下がってくる。
痛みはズキズキとした痛みで、酷くなると立っているのが辛くなる。
腰は常に張っている状態で、これも仕事中に辛くなることがある。
仕事は飲食業で、仕事中は立ちっぱなしである。
睡眠中には痛みの症状はほとんど無い。
お風呂に入っていると痛みは楽。
触診すると、腰はとても筋肉が硬い。
左の臀部の筋肉を調べると、臀部の奥が硬いしこりのような状態になっている。
痛みの性状は、坐骨神経痛で間違いない。
痛みの部位は、左の臀部が大元である。
痛みが悪化すると太ももにまで痛みが伸びている。
こららを総合すると左の梨状筋症候群だと推察される。
伏臥位で、腰を中心に硬くなっている筋肉に鍼治療。
左上の側臥位で、梨状筋を中心に双子筋、中殿筋等にも鍼治療。
臀部全体に温灸器をあてる。
腰は楽になった。
臀部の痛みはまだある。
施術は前回同様。
腰はとても楽。
臀部は少し楽になった程度(痛み指数10→8)
臀部に使用する鍼を6cmから7.5cmの中国鍼に切り替える。
腰は楽。
臀部の痛みも楽になっている(痛み指数8→4)
施術は前回同様。
腰は楽。
臀部の痛みもほぼ気にならない程度(痛み指数4→1)
施術は前回同様。
腰は楽。
臀部の痛みも全く気にならない(痛み指数0)
施術は前回同様。
今回の症例は、症状自体は典型的な「坐骨神経痛」です。
坐骨神経痛とは、坐骨という神経が何らかの原因で過敏になって痛みを引き起こす症状です。
今回の症例の方は仕事が立ちっぱなしだったとのことで、左の臀部が過緊張状態だったと思います。
臀部の筋肉は何枚もの層で出来ていますが、坐骨神経を発症する場合は深部の筋肉が硬くなっている状態です。
この場合の筋肉とは「梨状筋」という筋肉になります。
そして梨状筋が硬くなって坐骨神経を圧迫することにより、坐骨神経痛を発症している状態を「梨状筋症候群」と言ったりします。
梨状筋症候群を発症すると、ほとんどにおいて臀部に痛み、しびれを発症して、更に悪化してくると太ももに痛みが伸びてきます。
この状態にまでなると、痛み、しびれが激しくなるので日常生活に支障をきたします。
この梨状筋症候群ですが、症状を改善するのであれば梨状筋の緊張を緩ませる必要があります。
梨状筋を緩ませる方法は様々あると思いますが、当院では鍼を使用して梨状筋を緩ませていきます。
ただし梨状筋は何枚も重なっている臀部筋の奥にある筋肉なので、使用する鍼もそれなりの長さがある鍼を使用します。
鍼の長さは個人の体格によって多少の違いはありますが、当院では5cm~9cmの長さの鍼を使用することがほとんどです。
物理的に梨状筋にまで鍼が届けば、梨状筋は鍼の作用によって筋肉自体が緩んで筋肉中の神経の絞扼が無くなり、結果として痛み、しびれが改善します。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。