半年前から、喉がつまった感じがある。
特に何もしていなくても、喉に何かが詰まったような違和感がずっとあって辛い。
耳鼻科にいって、内視鏡で喉~食道まで診てもらったが異常は無かった。
その後、徐々に症状は悪化してきたので自分でもいろいろと調べてみると「ヒステリー球」という疾患が自分の症状にマッチしていた。
この疾患はストレスが引き金になっていることが多く、自分でもストレスを自覚していたので間違いないと思った。
この疾患には治療法が確率されておらず、心療内科、漢方等、効果も個人差があるようだと知った。
最初は漢方薬局に通って漢方薬を飲んでいたが、あまり変化はみられなかった。
心療内科は抵抗があったので、他に何かないかと調べると「鍼灸」が良いと載っていた。
鍼灸は経験が無かったが一度受けてみようと思い、自宅の近くで検索したら当院のホームページを見つけて、ストレスが原因の症状も対応可能と載っていたので来院された。
喉のつまり感を感じたのは今回がはじめて。
つまる感覚は何もしていなくても感じるが、食べ物、水分を摂るときは軽減する。
症状が酷い日は、喉に加えて胸が圧迫されるような、熱くなるような感じがある。
首、肩、背中の緊張は昔からあって、睡眠も浅いことが多い。
症状を発症した時期は、ちょうど就職が決まって働き始めた時期と重なる。
性格は真面目で神経質だと自分でも思っている。
触診では、首の横に付いている「胸鎖乳突筋」「斜角筋」の緊張が酷い。
肩こり、背中の筋肉も硬い。
脈診をすると「数」「緊」脈である。
喉のつまり、違和感をはじめ、ストレスの度合い、体の緊張が酷い。
それらの症状を総括すると、ヒステリー球だと推察される。
仰臥位で、胸鎖乳突筋、斜角筋に鍼治療。また交感神経のポイントに鍼治療。
喉の筋肉に温灸器をかける
伏臥位で、後頚部、肩、背中の緊張部の筋肉に鍼治療。
首、肩、背中の張りはだいぶ楽になっている。
睡眠も深くとれるようになった。
施術は前回同様。
体の緊張は楽になっている。
喉も少し違和感は取れてきた。
施術は前回同様。
体は楽になっている。
喉のつまりもだいぶ楽になっている。
施術は前回同様。
原因不明の喉のつまりを「ヒステリー球」と言います。
ただ、ヒステリー球は正式な病名ではありません。
正式には「咽喉頭異常感症」と言います。
因みに東洋医学では「梅核気」といったりします。
この症状は、病院で検査をしても何ら異常は発見されません。
しかしこの症状で悩まれている人はたくさんいます。
先ほど原因不明と言いましたが、実はこの症状を発症する人に共通するポイントがあります。
それは「ストレスに弱い」「几帳面」「ストレスが多い生活をしている」といった精神的な部分で何かしらのトラブルを抱えている場合がほとんどなんです。
実際に当院に来院されているヒステリー球の方達は、過度のストレスを抱えている場合が多いです。
なのでヒステリー球を改善する場合は、心身両面でのケアが必要になってきます。
尚、今現在でもヒステリー球を治す確実な治療法はありません。
なのですべての治療、施術は対処療法になります。
一般的には、心療内科での治療(抗精神薬)、漢方療法(半夏厚朴湯が有名)等があります。
では鍼灸治療では、ヒステリー球をどのように捉えて施術しているのでしょうか。
正直、鍼灸院によって施術法は様々です。
筋肉、神経、経絡等、様々な考え方があります。
因みに当院では、自律神経、筋肉の二つを重要視して施術しています。
まずヒステリー球を患っている方は、自律神経のひとつである交感神経が緊張している場合がほとんどです。
ですので交感神経の緊張を下げる施術を行います。
交感神経の緊張を下げるポイント(ツボ)は頭、手、足、腹、背中等にありますので、脈診で鍼をするポイントを決めていきます。
次に筋肉ですが、ヒステリー球の方は胸鎖乳突筋、斜角筋といった首の筋肉が過緊張を引き起こしている場合が多いので、鍼でこれらの筋肉をしっかりと緩めていきます。
また首以外にも、肩、背中の筋肉も緊張している場合がほとんどですので、それらの筋肉にも鍼でしっかりとアプローチします。
上手くいけば、時間はかかりますが徐々に症状は治まっていきます。
だたし、先ほど説明したようにヒステリー球に関しては確固たる治療法はありません。
すべては対処療法になります。
ですので施術の効果も当然ですが個人差がかなりあります。
鍼灸治療が合えば効果が期待できるのですが、ほとんど効果が無い場合もあるのです。
また私生活で過度のストレスを抱えている場合は、根本であるストレスを何とかしないと症状は良くなりません。
ですのでヒステリー球が辛い方は、絶対にストレスを軽減する生活を送るようにしてください。
疾患症例集について・・・
臨床経験のなかで、特に印象が強かった症例をできる限り分かりやすく掲載しています。
これをご覧になって、ご自分の症状と似ている部分があれば施術方針の参考にしてください。
尚、ご自身の抱えている症状が当院の施術で改善するのか、詳しく知りたい場合は遠慮なくご相談ください。